今日は京都で《秋の夜に》
2010年10月23日(土)
(藤井眞吾コンサートシリーズ vol.48、プログラムノートより)
「食欲の秋」とか「芸術の秋」と言ったものですが、最近は鮮やかな四季の変化が乏しくなって来た様な気がします。それでも今年の夏のように猛暑が続くと、エアコンも要らない、かと云って暖房も要らない、という今日この頃は、開放された窓からのどかな外気が流れ込んで「やっぱり、秋はいいな・・・・」とつぶやいてしまいます。春の《のどかさ》と違って、秋にはさらに《静けさ》があるように思います。
演奏会をやるたびに強く思うのですが「・・・タイトルなんて必要なのかな?」と、しばしば困ってしまうこともあります。主催者によっては執拗に求めてきますし、それがなければ新聞社が記事を書いてくれないとか、チケットの売れ行きに影響すると言われます。しかし「アンドレス・セゴビア
ギターリサイタル」と言えば、それだけで立派なタイトルで、何を弾くかとか、演奏会のタイトルやテーマなんかなんにも必要ないのです。興行者はその名前だけで十分なわけですが、「藤井眞吾のギター演奏会」と云ったのではそうもいきません。
このコンサートシリーズは、時には何かを強烈なテーマに、ポイントを絞って曲目を選ぶこともありますが、実はあまりそういう事に縛られずに、のんびりとギターを弾きたい、そして聞いて頂きたい、というのがそもそもの動機でした。毎回タイトルはつけていますが、まあそれは「目印」あるいは、生まれた子供に名前をつけているようなもので、昔は子だくさんの家庭の末っ子は大概「留吉(とめきち)」とか「すえ」、あるいは「修作(しゅうさく)」なんていう、親の「もうこれでおしまいです」という気持ちがありありと伺えた名前があったものです。私も時々「何か弾きます」とか「好きな曲弾きます」なんて云うタイトルでやりたいと思うときがしばしばありますが、今回は殆どその気分です。
あくまでも「目玉」は、めずらしいソルの「第2 嬉遊曲の全曲演奏」ということですが、本当はのどかな秋の空気をたのしみながら、のんびりギターを弾きたいと言うのが本音です。「秋の夜に
an Autumn Night」と言うタイトルは、そういう「深い意味」があるのです。
(*当日券お問合せは「マンサーナ Tel. 075-972-2834」まで)
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