ポーランド出身の作曲家、アレクサンドル・タンスマン
(Alexandre Tansman, 1897 -1986) を私のコンサートシリーズで取り上げるのは初めてですが、私自身はかなり昔から好きな作曲家で、代表作「カバティーナ組曲」など若いころからよく勉強していました。近年イタリアの
Berben 社からセゴビアの為に作曲された作品の未出版のものがゾクゾクと刊行されていますが、その中に一冊、タンスマンの作品集も有り、それをみると彼が思いのほかギターの為に作品を書いていたことに驚きを覚えます。今回演奏する「ポーランド様式による組曲
Suite in Modo Polonico」はギターの為の作品の傑作のひとつです。簡明な書法の中に言い尽くせないほどの味わいを含んだこの曲は、セゴビア自身最もよく演奏したものでした。それにしても二十世紀の音楽の歴史を顧みると、タンスマンやテデスコのようにユダヤ系であると言うことから、亡命を余儀なくされたり、祖国を追われるように国外へ活動の拠点を移した人々が沢山いることに驚きます。そして今さらながら、セゴビアという演奏家が、如何に巨大な存在であったのかも痛感します。
レオナルドがバンドネオンの小松亮太さんのカルテットと全国ツアー中です。今日は大阪公演の最終日、ブルーノートで聞いてきました。「水を得たさかな」と言おうか、素晴らしい音楽、素晴らしい演奏でした。ギターとやるのは初めてと言う小松氏、しかし素晴らしいサウンド、素晴らしくセクシーで魅力的な音楽を創り出していました。写真は終演後、近くで仲間達と呑んでいるときのレオナルドです。まだ各地七公演を残すそうです。お近くの方は是非聞いたほうがいいですよ! 素晴らしいです。
Blue Note は初めて行きましたが、ちょっとがっかり。音楽を高級な商品にする場所なんだなと感じました。料金が高いのは仕方ないとしても、スタッフの対応や、システムも、何もかも。スノッブ。ああいう場所で、アルゼンチンの貧しい人達が血と涙を絞りだして作った、音楽「アルゼンチンタンゴ」を聞くなんて皮肉な話しです。
●ロサンジェルスで・・・
2007年7月20日 (金)
丁度一年前の今日、つまり7月20日は京都で《天使の協奏曲》を初演した日でした。あの頃のことは全ての時間が濃厚で、生涯忘れることはないでしょう。もう一年が経ってしまったのです。・・・そしてなんと、今年の10月に再びビルと一緒にこの曲を、しかもロサンジェルスで演奏することになりました。舞台はGFAのコンベンション最終日のW.カネンガイザーリサイタルです。《天使の協奏曲》は「Concierto
de Los Angeles」といいますが、まさに Los Angels で再演です。私は指揮者として招待戴きました。ロスの音楽大学の学生達によって約35人のギターオーケストラを編成(レベルは高いそうです!)、さらに一般の参加も公募しています。日本からも参加者がいるなら・・・、夢のような話しです。
新しい、ギター合奏のための作品が完成しました。立命館大学クラシックギター部から委嘱いただいていた作品で「Rhapsody
Japan ラプソディー・ジャパン」という、日本の民謡や唱歌を題材としたものです。立命大学の皆さんから委嘱に際していただいたテーマは「祖国」という大きなテーマでした。そこからさらに議論を進め、日本の音楽を題材とした作品を書くことになりました。彼らの方からいくつもの日本の民謡や唱歌が候補として提示されましたが、当初は旋律を素材として新たな作品に仕上げようと思っていたのですが、作業を進めるに連れて、原曲の持つ美しさをもっと引きだしたいと思い、「ポプリ」の様な形としました。最初に《前奏》、続いて《さくら》《花》《通りゃんせ》《かごめ》《浜辺の歌》《ずいずいずっころばし》《ふるさと》と続きます。《通りゃんせ》と《かごめ》ではこの二曲のクオドリベットを試みましたが、美しい旋律が一層神秘さを深めた感じがします。《浜辺の歌》はポップな感じに、《ずいずいずっころばし》はコミカルなタンゴに仕上げました。初演は立命館大学クラシックギター部の定期演奏会、今年の11月です。詳細はまたご報告いたします。