観峰館の博物館展示場内に設定された円形のステージのバックには白いついたてが、音響を良くするために設定されましたが、会場は既にギターにとって最高の響きを持っていました。更に今回使用した2つの楽器、シュタウファー(写真1・2)もマルタン(写真1の後ろ)も、200年近くの年月を経た楽器であることを忘れさせるような、艶やかで、豊かな音を響かせてくれました。会場には100名ほどの聴衆が詰めかけ、本当に静かに、集中して演奏に耳を傾けてくれました。此処の会場のすぐ近くには安土が有り此処のセミナリオを古楽のコンサートが多く、その影響があるのかもしれません。
やはり19世紀の音楽を表現する手段として、19世紀のオリジナル楽器から得られる教訓は計り知れなく多く、また深いものがあります。現在の私にとってはカルカッシやソルの小品(練習曲)で、現代のギターとの違いを強く感じます。
先日のアートステージでの演奏会と同様、19世紀ギターを初めて聞いたとおっしゃる方は沢山いらっしゃいましたが、これらの楽器が本当にそんなに昔のものであるのか・・・、なのにどうしてそんなに豊かな音量を持っているのか・・・、等々の驚きを抱かれたようです。優れた楽器は健康な保管に恵まれればこのように長く生き延びることが出来ますし、その機能も十分なものでることは言うまでもありません。音量に関しては、むしろこう言った楽器は音量がないのではないか、という考えの方が「偏見」であって、私はその様なことを疑ったことはかつて一度もありません。音が非常に
pure でとても「通り」が良いことは事実です。かなり大きなコンサートホールでも全く問題はないでしょう。今度はそんな会場で是非演奏してみたいと思います。この機会を与えて下さった観峰館に心より御礼申し上げます。