最終楽章はレオ・ブローウェルに捧げています。ただし、勿論現在もご存命で活躍されています。ブローウェルは20世紀から21世紀にかけて様々な音楽を吸収しながら、ギターのレパートリーを産みだしてきました。彼が網羅する音楽のスタイルは極めて広範に及びます。最終楽章のために彼の作品から引用したものは有名なものばかり、「舞踏礼賛」「練習曲第8番」「恋する乙女のバラード」。中でも「練習曲第8番」のブルガリア民謡と言われている旋律はブローウェル自信も大好きで、このほかに「三つのスケッチ」「HIKA」などにも用いているものです。曲の冒頭は5つのパートの首席奏者によるピチカートソロから始まります。モチーフは「舞踏礼賛」からの引用、ミニマルの手法によって楽章全体を支配するリズムパターンを作ります。曲の終り近くに再び独奏ギターによるカデンツァがありますが、特にこの楽章は独奏ギターとギターオーケストラが「合奏協奏曲」のように一体となって音楽を創っています。カネンガイザー氏はそのことを熟知したたうえで、常にテンポのコントロールを見事にやってくれています。
今年6月に北京でこの曲を演奏したときには大変面白いことがありました。
ギターオーケストラは北京音楽院の精鋭達(・・・その中には東京国際ギターコンクールの覇者二人も含まれていました)、全体にとっても良く演奏できているのですが、最終楽章のリズムの感じが重く、リハーサルを重ねながら少しずつ良くなっていきました。リサイタルでも良かったのですが、その後のガラコンサートでは更に良くなって、曲の終りの方、カデンツァが終りトゥッティーになったところで、彼らのリズムがとても生き生きとしていて、カネンガイザー氏と思わず目を合わせ「おいおい、連中すごく良くなったじゃないかい!」と無言で喜びあっていると、ふっと音がなくなる・・・。そう、喜んでいる場合じゃなかったんです、そこはソリストの入るところ。私もカネンガイザー氏も、二人ともにギターオーケストラに聞き惚れて、独奏者の入りをうっかり失念してしまったのでした。2秒くらいの空白でした。このCDではそれ以上の演奏を聞かせていますが、そのような空白はありません。
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