この連載がしばらくお休みをしていましたが、その間(10月14日〜10月24日)アメリカのロサンジェルスに行っておりました。GFA(Guitar
Foundation of America)のコンベンションで昨年作曲した《天使の協奏曲》を
W.カネンガイザー氏の独奏で演奏してきました。50名のギター合奏団の約半数は地元ロサンジェルスのギター科学生、そのほかは全くの一般参加です。最年長は70歳位の方でした。二日間のリハーサルはとても充実していて楽しかったです。とても印象的だったのはアメリカの若者がとても生き生きとしていて、同じ年代の日本の若者より純朴で、素直な感じがしたことです。練習が終ってもいつも私のところにやって来て「第2楽章の二つ目の和音はどんな音なんですか?」とか「僕達のためにも新曲を書いてもらえるんですか?」とか、いろんな質問をしてきます。彼らとの時間はとても楽しかったです。
もうすぐ函館の皆さんとの《Air》
の練習が始まります。どんな方達とお会いできるのか、そしてどんな練習ができるのかとても楽しみです。
さて 事前に参加される方々へ配布されているパート譜には、殆ど「運指」がついていないと思いますが今回はそのことについてお話をしましょう。
器楽曲の楽譜にはそれぞれの楽器特有の「指使い」が書き込まれています。ギターの場合は、左指がどこを押さえるのかという数字、また右指のどれを使うのかというアルファベットが書き込まれます。今回私がこれらの指使い(運指/
fingering[英]、digitacion[西])を余り書き込まなかったのにはいくつかの理由があります。
理由その1〜曲を書き上げてから楽譜配布まで余り時間がありませんでした。よい「運指」を決定するには結構時間がかかります。
理由その2〜どのパートもそれ程難しくありませんので運指で悩むことはあまりないだろうという判断です。各人が判断していただければそれで十分だと思ったからです。
理由その3〜最初から運指が書き込まれていると、その「指使い」に気を取られて音楽の本質的なところ、最も重要なことがおろそかになる場合があります。旋律や和音の響きを良く勉強して欲しかったから、あえて細かな運指は書き込みませんでした。
私がもっとも強調したいのは3番目の理由です。これは今回の様な合奏に限らず、ギターの勉強においてもとても大事なことだからです。「そんなことを言われても、オレは運指がないと弾けないゾ!」とおっしゃる方がいるかもしれません。次回はそんな方のために、ギターの勉強と運指の関係について少し具体的にお話をしようと思います。
続く