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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
guitarstudy
shingo

CHAPTER 11.
練習の日常化

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第3節「あなたのための献立表」

 私はギターの練習には「食事」の様なものだと時々感じています。食べ物には好き嫌いと言うものありますが、健康のためには「三大栄養素」のバランスを考えなければいけません。ギターの練習でも「三大要素」とそのバランスを考えるべきです。練習の三大要素とは・・・

1.基礎練習(技術の基礎を練習する)
2.予習(新しい曲を勉強する)
3.復習(既に勉強した曲を通して弾いてみる)

・・・この三つです。
 さらに「基礎練習」の中にも三大要素があって・・・

1.左手の練習
2.右手の練習
3.左右の同期

・・・と、バランスを考えてください。「予習」にも「今勉強している曲について、楽曲分析をしたり、運指を考えたり、暗譜を確かめたり」と様々な要素がありますし、あるいは未知の曲をCDで聞いたり、実際に演奏会を聞きに行くと言うこともこの練習に属すると私は考えています。「復習」は特に大事です。必ず何曲か(…1曲でもいいのです)、既に勉強した曲をステージに居るようなつもりで弾いてみることです。そうすると必ず何か新しい発見(反省点)があるはずです。不確かだった記憶を見つけるかもしれません。あるいは成長した自分を発見するかもしれません。これは練習の中でも特に楽しい時間です。

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*クリックして譜例(画像)を拡大表示

 「笑っていいとも!」というTV番組のことを最初にお話ししました。私はこの番組を「いいかげん」で「無計画」だと評しました。しかしそれは別な言い方をすれば、「いいかげん=気楽にやろう」と言う効果に、「無計画=今日が駄目なら明日があるさ」という安堵感につながります。だから、こんなにも長く続いているのだと思うのです。
 
私達の「日常の練習」というのも「笑っていいとも!」と同じように、気楽に、そして毎日が必ずしもきちんとしていなくてもいいのだと考えたらいいと思います。そうしなければ長く続けられませんし、続けなければ「ステップアップ」することも出来ません。
 
ただし、大事なことを忘れないように。「笑っていいとも!」という1時間番組では必ず、笑いのポイント、娯楽の要素を網羅しているのです。まずは「オープニングの華やかさ」、「テレフォンショッキングでの意外性とタモリの話芸の多彩さ」、そして各コーナーでの人気タレントの登場、などなど多彩な要素を盛り込むことには細心の注意を払っていると思われます。偶発的にどこかのコーナーに時間が偏っても、それ自体が意外性であり、新奇性を産み出し、新たな娯楽と視聴者の満足につながると言う状況が周到にお膳立てされているわけです。
 
私達の日常の練習を毎日の「食事」だと考えられるなら、まずはそこに網羅されるべき練習の要素を今一度各自が整理し見つめ直すこと、そして学校給食の「献立表」のように、「今週の栄養摂取」を考え、実際に表に書き出してみて、決して「1日」だけで考えるのではなく、一週間、一ヶ月、あるいは一年と言う期間での練習とそのバランスを考えて下さい。そうすれば、あなたなりの練習の「日常化」が気楽に実行できるのではないでしょうか。あなた自身が「タモリ」であり、あなたのギターの練習が「笑っていいとも!」のように変化に富み、長く続くものとする事ができるように思うのです。練習は最大の娯楽ですから。


 
次回、最終回は「本当のステップアップとは何か」について考えてみましょう。

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