第2節「質 quality と量 quantity」
優れた合奏団はよく考えられた練習方法で十分な時間をかけて練習をしますが、下手糞な合奏団はたいてい練習が足りないことが原因です。しかし、最も優れた合奏団の場合は極めて短い時間でも緻密な練習によって目的を達成することができますが、最悪な合奏団は、なんの考えも無しに強制労働のような練習を長時間強いているものです。
個人がギターを練習する場合も同様のことが言えます。個人の場合は自分のやっていることを客観的に判断しなければなりません。月並みな言い方になりますが「時間を有効に使う」事が大事です。本稿は「独習者のための〜 」とされていますが、私は音楽を学ぶ上ではプロもアマチュアもあまり関係がないと思います。さらに「ステップアップ」をするためには、いずれもただ読み飛ばすだけでなく、実践して頂かなければ決して身に付く事はありません。身に付けるためには日常の練習が肝心です。
社会人の方々は「練習時間を見つけるのが大変だ」とよく言います。本当にそういう理由でなかなか練習ができない人は沢山いますが、私がこれまで知遇を得た人の中で「練習時間を見つけるのが大変だ」と言う人達の多くは「練習時間が出来ても何をやっていいか解らない」という問題をもかかえているのも事実です。そこに悪循環が生じてしまいます。結局「ステップアップ」を期待することはできません。それどころか、そういう堂々巡りのせいで、とうとうギターをやめてしまう、なんて言うことにもなりかねません。それではあまりにも悲しいと私は思います。
練習時間の問題は個人が様々に解決して行くしかないのだろうと思います。「なせばなる、なさねばならぬ何事も、なさぬは人のなさぬなりけり」という有名な歌がありますが、これは江戸時代中期の名君、出羽国米沢藩の第9代藩主、上杉 鷹山(うえすぎ ようざん)の著した「上杉家文書」にある「弗爲胡成(為さずんばなんぞ成らん)」に由来するものと言われています。
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