第1節「あなたは、どなたでしたっけ? 」
だいたいあまり記憶力の良くない私は、道でばったり会った人に挨拶をされて「ああ、お久しぶりですね」などと調子を合わせていても、踵を返すとすぐに「はて、今の人は誰だっけ?」などということがしばしばあります。初対面の人に名前を伺ったとき、失礼を覚悟で「どのような字でしょうか?」と尋ねることにしています。そうすると、その漢字と一緒に覚えられる、あるいはその短いやり取り の時の相手の表情などが、一緒に記憶として残り、名前と 顔を覚えやすくなるのです。
ギター曲を勉強し、覚えるとき、皆さんはどのようにしているでしょうか。「メロディーを覚える」「楽曲の構成を理解し覚える」「運指(指使い)を覚える」などなどいろいろやり方がありますが、一番良いのはそのすべてを試み ることです。記憶は1 つの覚え方だけではなく、さまざま な角度から見てやった方が、深く永く記憶されやすい、と いうのは定説のようです。
今回読者の皆様にして頂きたいのは、音の名前を「読み あげながら弾く」という練習の仕方です。曲だけではなく、基礎練習をしているときでも、習慣のようにいつも頭の中で、今自分が弾いている音を「ド~レ~ド~ミ~……」などと読みながら練習をしてください。そうすると単に「メロディー を覚える」というだけでなく、それらの「音名」はまるで「歌詞」のように記憶され、より記憶を確かなものにしてくれるからです。
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