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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
guitarstudy

shingoCHAPTER 7.
音色(ねいろ)

  ギターと言う楽器の面白さは、音色(ねいろ)が豊かである事、奏者による違いだけでなく、同じ演奏者でも表現の中で様々な音色を駆使する事が可能である、という点にもあると思います。音色の変化をどのように使い分けるかという事は、音楽上の問題です。ここではギターの音色がどういった要素によって変わるのか、コントロール出来るのかと言う、技術的な側面を学びます。しかし、実際には音色について語るとき、どうしても感覚的であったり、抽象的な表現に頼らざるを得ないという場合があり、活字による説明には限界があります。読者は、実際にギターを弾きながら確かめつつ読まれるますように。また本稿の内容の大部分は、当サイトの Guitar Study「右手の動き」で既に書いた「1.なぜギターの音が?」「2.太鼓とバチの関係」「3.指のストローク」「4.弾弦の角度(音質)-1」「5.弾弦の角度(音質)-2」「6.手首と手、または腕」「7.弦と指の角度」と重複、あるいは深く関連していますのでそちらも合わせてお読み頂くようにお願いいたします。

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第1節. 「感覚の世界と現実を結びつける」

 本当に「タイイムマシン」なんて言うものがあったら、私は19世紀に逆戻りして、ウィーンでM.ジュリアーニの演奏、パリではF.ソルの演奏などを聴いてみたいと思います。特に興味があるのは「その音色は人間の歌声のようだ」と言われたJ.K.メルツの奏でるギターの音色です。滞在を少し延ばせばヨーロッパのどこかで聞けるのかもしれません。そうするときっとカルカッシや、もしかしら神童G.レゴンディーの演奏にもお目にかかれるかもしれません。かなり長期滞在になりますが、スペインまで足を伸ばして、F.タレガのギターの音も聞いてみたいものです。100年近い滞在になりそうです。

sonido


 「音」というのはきわめて複雑なものですが、「音の大きさ」だけを科学的に数量化し表現することは難しいことではありません。実は「音色(倍音構成)」も数量的に表現することは可能です。しかし「きれいな音」と「きたない音」の判断や、「柔らかい音色」と「硬い音色」の境目は定義が難しく、「暖かい音」と「冷たい音」や、「明るい音」や「暗い音」などの表現になると、数量化して表現することはかなり困難ではないかと思います。それらは私達個々の感覚や感性に依存する部分が大きいからです。
 私たちがギターを学ぶために、音のことを科学的に数量化する必要はありませんが、音をコントロールする技術と、音に対する感覚、あるいは感性は極めて重要です。今回はそのことを学びましょう。