第1節「笑っていいとも!」
フジテレビ系列の長寿番組のひとつで「笑っていいとも!」は皆さんご存知でしょう。正しい番組タイトルは「森田一義アワー 笑っていいとも!」なのですが、私はこの番組の初回放送(1982年10月4日)の事を鮮烈に覚えています。当時「タモリ」こと森田一義氏はすでに人気お笑いタレントではありましたが、まだ現在のような存在ではなく、どちらかと言うと「夜の顔」でした。それがフジテレビの正午に登場してきましたから「ああ、これはキャスティングミスだな」とタモリの大ファンであった私でさえも思ったものです。
しかしこの番組は当時フジテレビの敏腕プロデューサー横澤 彪(よこざわ たけし)氏が手がけたもので、「スター千一夜」「笑ってる場合ですよ!」「オレたちひょうきん族」「ライオンのいただきます」などと並んで代表作のひとつとして現在まで引き継がれています。タモリがかつて、自らをして「私は国民のオモチャです」と言ったように、この番組では司会者であるタモリは自由奔放、「え、まさか?」と言うようなことをどんどんとやって行き、登場する芸人やゲスト、挙げ句の果てには視聴者までをももてあそび、しかし楽しませ、あっという間に三十年近い年月が流れようとしています。この番組がこれまで続いた最大の要因は「いいかげんという周到さ」、「無計画という計画性」、そして番組の中心にはいつも即興の天才・タモリが居ると言うことに尽きると思います。この方向性は現在のお笑い番組の基本を作ったと私は思っています。
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