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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
guitarstudy

shingoCHAPTER 12.
本当のステップアップ(最終回)

 

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第1節「急がば回れ」

 今回が本講座の最終回です。この一年間の内容を整理してみたいと思います。
 ことわざに「急がば回れ」とあります。「ローマは一日にしてならず」も同じようなことでしょうか。ギターに限らずどのようなことでも、たいてい当てはまる言葉です。私も小さい頃には親から、そして先生や先輩から何度も言われた言葉です。さて、そのように申しますと、今ここで私も同じように皆さんに同じように、

 急がば回れ、と諺にもあるように、ギターを独習される皆さんも、決して慌てることなく、こつこつと努力を積み上げてこそ《真のステップアップ》が得られると言うものです。一年間のこの連載をよく復習して皆さんのステップアップを祈念し、最終回のご挨拶に替えさせて頂きます。


 ・・・なんてお決まりのことを言うんだろうとお思いでしょうが、私はそんなちんけなことは申しません。私は中学生の時に陸上競技をやっておりまして、なかなかの記録も出したのですが、練習が大嫌いでした。指導の先生は「うさぎ跳びでグランド三周」「腹筋100回」「もも上げで100m三本」とか、練習課題ばかりを与えます。そして不満たらたらの私の顔を見て必ず宣うのは「ローマは一日にして成らず」でした。ローマに行ったこともない奴にそんなこと言われたくない、と腹の底では思っていました。あとになって気付いたのは、そういう過酷な練習が一体何のためなのか、たとえば私の本業であった「走り幅跳び」にとって、どのように応用されるのか、という説明が少しでもあればもう少し納得もできたのかもしれません。
 当時は「何を中学生が生意気なことを言って、それは身体を鍛えるために決まっているじゃないか! 文句を言わずにトレーニングだ!」と頭ごなしに言われたものです。しかし現代のスポーツ科学では、私達がその頃必須課題として行った「うさぎ跳び」は「膝を痛める」、また足を伸ばしたままの「腹筋運動」は「背筋に良くない影響がある」などのことがわかってきて、いまは「やってはいけないトレーニング方法」なのだそうです。また現在は中学生には過度な筋肉トレーニングは課さないのだと聞きました。それは、成長期の中学生は身体の発育がまず優先で、不適切で過度なトレーニングはそれを妨げるからなのだそうです。
 ギターを勉強している人達の中にも、よく「テクニックを鍛えなければ行けませんよね?」と尋ねる人がいますが、そういう人には「そのまえに頭を鍛えて下さい」と答えることにしています。方法の間違ったテクニックの練習は、指や身体の故障につながる危険がありますし、それだけでなく沢山の素晴らしい音楽をどんどん聴いて行くこと、そして興味を深めて行くことが、独習者にとってはとても大事だと思います。独習者の場合は計画な学習プランを立ててくれる先生がいないのですから、自身が高い志を持っていなければ、自己を高めることは難しいのです。自分で理由を考える事ができなければいけません。回り道などしないで下さい、まずは遠いむこうにある目標をしっかりと見つけて下さい。

 

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