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Guitar Study

《続・独習者のためのステップアップ講座
by Shingo Fujii

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CHAPTER 8.
音色(ねいろ)-2

第3節「固有振動数とウルフトーン」

 固有振動数の話をしましたので、もう少し話題を広げてみましょう。全ての剛体は固有の振動数を持っているわけですから、当然ギターもそれを持っているわけです。ギターの固有振動数を決定する要素の多くは、ボディーの作りや大きさ、表面板の厚さ、力木の状態などでしょう。では弦がギター本体の固有振動数と同じ音で振動しようとした時どうなるかと言うと、それは「相殺」しあって、あまり良い鳴り方をしなくなります。これを「ウルフトーン」といいます。あなたのギターの第6弦で、3フレットの「ソ」そして4フレットの「ソ#」、5フレットの「ラ」位までゆっくりと弾いて弦の振動状態を観察して下さい。大抵は弦はふくよかに振動するのですが、ウルフトーンでは振動が急に小さくなり、音の余韻があまりありません。「ソ#」くらいだと良いのですが、「ソ」とか「ラ」にウルフトーンが来ていると、これは困ったことになります。

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 ところがギターの場合の固有振動数と言うのは必ずしも固定的な物ではありません。ひとつには、木で出来ていますから経年変化による木材そのものの弾性(ヤング率)が変わって、ウルフトーンも変わる場合があります。もうひとつは使う弦によっても固有振動数は変わります。現在様々なメーカーが色々な張力をクラス分けして弦を販売しています。材質も種類が増えました。音の高さが一定であれば、同じ弦を使っている限り(弦の直径は一緒ですから)その張力は一定です。よく「張りがある」とか「張りが無い」とかいいますが、それはあくまでも感覚の世界であって、物理的には全く同じ張り(張力)である事を忘れないで下さい。しかし材質が変わったり(ナイロン、フルロカーボン、チタニウム…etc.)、メーカサイドのクラス分け「High tension」「Normal tension」「Low tension」などが違えば、当然弦の径が変わりますから、張力も変わってきます。音の高さは「弦長」「線密度(弦の材質)」「弦の太さ」「張力」によって決定されますから、「弦長」の同じギターで「音の高さ」を一定に保つために「線密度」や「太さ」を変えれば結果的に「張力」が変わります。そうすると弦がギターの表面板を引っ張る力が変わり、ボディーの「剛性」が変わります。ということは「固有振動数」も変わると言うことです。ギターは六本の弦で「30kg〜40Kg」の力で引っ張られていますが、弦の種類を変えると少なくとも「数Kg」の差が生じます。これによって固有振動数が変わり、嫌なウルフトーンを避ける事ができる場合があります。弦を音色の好き嫌い、値段の高低だけで選択するのではなく、そういう観点から判断することも必要でしょう。

 

 ここの最後のお話「固有振動数とウルフトーン」は連載では紙面の都合で割愛したトピックでした。音色と関連して固有振動数の事や、楽器奏者がよく耳にするウルフトーンの事は重要だと思われますので、あえて掲載いたしました。