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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
Index
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CHAPTER 1.
基礎練習について

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1-2
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第2節「同一弦上での右手の動き」

 右手(右指)の動作は二つに大別されます(これは右手のテクニックを考える上でとても基本的で重要なことです)。

同一の弦をはじく動作(動作-1)
異なる弦をはじく動作(動作-2)

(動作-1)は「音階を弾く」、(動作-2)は「アルペジオを弾く」と理解しても良いのですが、今はもっと原始的な「指の動き」としてとらえて練習を始めます。
 【課題 1-1】をやってみます。同一弦を弾くもっとも単純な動作です。一拍目のアクセントを少しはっきり弾いてください。軽く、いわゆるアポヤンド奏法で練習します。最初は「 i m i m 」と「 i 」から弾き始めてください。「①か ら②へ」などの低音側への移動は心地よくできると思いますが(順指)、「②から①へ」などの高音側への移動では「 i 」が少し届きにくく感じます(逆指)。
  次は「 m i m i 」と「 m 」から弾き始めてみます。「②から①へ」などの高音側への移動では心地よくできると思いますが(順指)、「①か ら②へ」などの低音側への移動では「 m 」が少し窮屈に感じます(逆指)。

【課題 1-1】

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*クリックして譜例(画像)を拡大表示

 こういった都合は「 m i (中指と人差し指)」という指の長さの違いと、弦に対する指の角度から生ずるものです。指の長さに文句を言っても始まりません。これを解決するには指の3つの関節を使って、その長さを調節します。つまり弦に触れる指の「屈伸」です。「 i 」が「②から①へ」行く時「遠い」と感じるなら、もう少し指を「伸ばして」やればきっと届くでしょう(・・・棚の上にある大好きなおやつを、つま先立ちで取ろうとする子供の姿を思い浮かべてください)。また「 m 」が「①か ら②へ」移動するとき「窮屈だ」と感じるなら、身を屈めるように中指を使ってやれば良いはずです(・・・お父さんが子供の三輪車に乗っているような姿です)。
 弾弦の角度は誰でも簡単に調整が出来ます。角度を変えて、何が変わるのかを調べてみてください。弾きやすさや音色(ねいろ)に違いが観られるはずです。
 この練習は「 m a m a 」でも行います。同様のことを感じるはずですが、薬指と中指はその長さの差が少ないので、さほど問題を感じないかもしれません。これは個人差があります。順指と逆指がどこに来るのかを意識しながらゆ っくり、滑らかに弾いてください。
 以上のことをやったら、同じことをすべて、いわゆる アルアイレ奏法で練習してください。このとき右手の角 度や形は、アポヤンド奏法の時と同じであること、そし て聴こえてくる音の“大きさ”も“質”も同じであるように気をつけながら練習する事。

 

(追記1)ここでは「同一弦」を反復して弾き、弦を移動するとき「順指」と「逆指」という考えがあることを説明したつもりでしたが、曲を演奏するとき、なるべく「逆指」が生じないようにその指使いを考える事は重要です。しかし実際の演奏に際しては、まったく「逆指」が生じないように演奏する事などは、余程の幸運がない限り無理なのであり、またそのことにこだわりすぎると、かえって演奏がぎくしゃくしてしまう、という事さえあります。極論をすれば、「逆指」を苦にせず「順指」と同じように演奏出来るようになる事が理想であり、また普段の練習でそのことを意識して十分に練習する事は更に重要であるという事を追記しておきます。(2014/5/9 記)

(追記2)【課題 1-1】で示した開放弦による右指のみの練習は、単純ですが、極めて重要です。必ず毎日練習する事。特に「アポヤンド」と「アルアイレ」の両方でやる事を忘れないように。譜例では「音が2個」の場合と「音が3個」の場合のみを示しましたが、それはひとつの弦上で音の数が「偶数」のときと「奇数」のときでは弦を移動する時の指の役割が(すなわち順指であるか逆指であるかということ)ちがうからですが、それに加えて「音が4個」の場合「音が5個」の場合」も必ず練習して下さい。 また、奇異な練習に思われるかもしれませんが「音が1個」の場合も練習して下さい。最初は難しいでしょうが、個々での練習の目的を集約したような効果を得る事ができます。(2014/5/9 記)