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《はじまりの音楽》
by Shingo Fujii
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12.海

作詞:林柳波
作曲:井上武士

うみは ひろいな おおきいな
つきが のぼるし ひがしずむ

うみは おおなみ あおいなみ
ゆれて どこまで つづくやら

うみに おふねを うかばせて
いってみたいな よそのくに

 私はこの曲の歌詞が大好きです。特に「海は広いな 大きいな」という歌いだし、すなおで、純朴で、大海原を眼前に「わ~」と驚いている子供の顔が浮かんできます。揚げ句の果てに「行ってみたいな、よその国」と言われてしまっては、たまりません。例えば「恋人が住んでいるアメリカへこの海を渡っていきたい」とか「この真っ青な海の向こうには、おじいちゃんのいるハワイがあるんだ」なんていう具体性がなくて、なんの目的か知らないけれど「行ってみたいな・・・」と、しかも「よその国」っていうのが、子供らしくて良いですね。大好きです。

 この編曲では全編がこの二つの和音の繰り返しで出来ています。

 

2

 「波」だと思って下さい。最初は静かに、だんだんと大きな波に変わっていきます。2nd guitar が最初の波を、そしてそれを受けて 1st guitar も波を。本来の旋律はこの波しぶきの間にまに断片的に聞こえてきます(二段目、三段目)。ですから二人の奏者は互いの音のバランスを気遣いながら、メロディーを繋いで行って下さい。四段目と五段目では波のしぶきが跳ね返り、キラキラと輝きます(ハーモニックスの音)。ハーモニックスは全てを「オクターブハーモニックス(人工的ハーモニックス armonicos artificiales)」で弾いてもいいですし、「自然ハーモニックス armonicos naturales」で弾くことも出来ます。右手はややブリッジよりではっきりとした音を出すようにしましょう。

 右のページに入って、和音の分散(グリッサンド)は、大きな波しぶきが経っている様を想像して下さい。互いのテンポとリズムが崩れないように注意。

2 さんさんと太陽が照りつける海岸で、大海原を眺めながら午睡をしていると思って下さい。「うわ~、すげぇ~な~」「行ってみたいなよその国」なんて思いたら、うとうとと眠りに入ってしまいます。フと気がついて、また「海は、広いな~!」と再び絶叫します(右ページ三段目四小節目)。しかしまた睡魔に襲われます・・・。また気がついて「よ・そ・の・く・に!」と絶叫します(右ページ最後の段二小節目)。次からの繰り返しで「よ・そ・の・く・に!」という声も静かに、寝ぼけた声になっていきます。最後は永遠に続くかのような、波の「ザブン、ザブン」という音に全ての空想が吸い込まれていきます。

 静かな音楽ですが、広がりのある、大きな音楽です。