私の幼年時代は「お正月」は「大イベント」で、特に雪国北海道で生まれ育った私には、それはそれは楽しみな時でした。ご馳走を食べて、お年玉をもらって、お年始のお客さんがあって、家族で一緒にテレビを見たり、カルタやトランプをして遊んだり、普段は考えられないような時でした。だから「もういくつ寝るとお正月(がやってくるの?)」と言う気持ちは、この歌で歌われている以上に強い気持ちで、そして滝廉太郎氏の落ち着いて整然としたメロディーでは表現できないほど「待ち遠しい」気持ちを持っていました。まさに「気が狂わんばかりに」正月を待ち焦がれていました。例えば、運動会や修学旅行の前夜、興奮の余り眠られない小学生の様子を思い浮かべて下さい。この編曲はそれくらい「うきうきした気分」を表現したく、かきました。
伴奏の和音とリズムは南米の音楽を思い浮かべて下さい。三段目、伴奏の和音はメロディーと全く無関係に、一体どこへ行ってしまうんだというような調子になりますが、これはまさに「うきうきして興奮した子供の心境」だと思って演奏して下さい。
1st guitar ではいくつかの音階が重要です。クレッシェンドやデクレッシェンドを明確にして下さい。そのためにはひとつひとつの音が明瞭であることが大事です。
中間部(右ページ二段目から)の音楽はいささかトリッキーです。2nd guitar のピチカートは興奮の余りすっかり神経が高ぶってしまったと思って下さい。あっちへ行ったりこっちへ来たりしていますね。1st
guitar は何事もなかったかのように、朗々と「お正月」のメロディーを歌い上げて下さい。そうすると、「お正月のご馳走は何?」「お年玉はいくらもらえるの?」「お年玉で好きなものを買っていい?」「お正月の晴れ着は何が良いかな?」などなど、まとわりつきながらくるくるとお母さん(1st
guitar)のまわりを回っているこども(2nd guitar)の感じです。四段目ではするりと、ピチカートから通常の音へ移行して、和音も普通の和音に戻っていきます。
元気に演奏して下さい! |