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《夜想曲 ~鳥の歌による》
Nocturno sobre “El Cant dels Ocells”
by Shingo Fujii

Nocturno sobre "El Cant dels Ocells" para 3 guitarras
~「夜想曲~鳥の歌による」ギター三重奏のための

ga5.鳥達のマズルカ

 

富川君、大島君、栗田君へ


 さて、この原曲の旋律、および想像されるハーモニーの中から、この曲の特徴となる部分を見つけ出していくと、それは圧倒的に前半の部分に集中していることがわかります。カザルスの演奏によれば後半部分では一カ所だけ、その繰り返しで旋律線が装飾的に変化され、それがどうも拍数そのものも増えていると思わざるを得ないところがあるのですが、それを除けば、後半部分は単に同主調(長調)に転調したことだけで(それも一時的なもので)、旋律線もあまり特徴的なものを見つけることが出来ません。
 私は後半部分の長音階による旋律の動きを使って、明るい音楽の変奏を挿入したいと思っていたのですが、それがこの「5.鳥達のマズルカ Mazurka de los Pajaros 」です。このマズルカは実はト長調なのですが、前半では主和音に落ち着くことなく属調に解決し、変ホ長調のトリオとも言うべき部分へ飛び込みます。少しロマンティックで、軽やかな雰囲気といたずらっぽい半音階のコントラストが、うまく出来たのではないかと思っています。半音階、ここはギタリスティックな「遊び」です。いわゆる「スラー(リガード)奏法」の応酬です。きっと効果的だと確信しています。そしてマズルカのリズムに戻ったとき、やっとト長調に落ち着きます。

藤井眞吾 (5/3)


 
 
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