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“カルカッシのギター教則本について”

イ長調

【Valz】

 第1曲目はワルツ。ここでも左手はいわゆる「コード(和音)」を弾く形で、右手の分散の仕方で旋律が出来上がります。カルカッシは初級者に「和音を押さえること」から習得させようとしていることが感じられます。それは私には必ずしも同意できないことです。

valz


 中間部は再び十六分音符によるアルペジオ。うまく弾けない場合は「ハ長調」のところでアドバイスした右手の親指の使い方に気をつけてみてください。
 三つ目のセクションは6度の音程と三度で動く旋律の対比。前者は軽快なリズム、軽やかにスタッカート。後者はレガートに。こういったアーティキュレーションの対比などをしっかり理解し実践することはとても大事です。技術的には簡単ではないかもしれません。

 

 

【Marsch】

 2曲めは「行進曲」、初めて出てきます。テンポをあまり早く設定せずに、ゆったりでいいから「二拍子」が感じられるように。付点のところは間に短い休符を作ると軽やかになります。3〜4小節めのアルペジオは一つずつの音が歯切れよく聞こえたほうがいい。
 後半部分では「旋律(上声)」に対して「下声」が応答します。ギターや音楽を始めたばかりの人にとっては、こういった「二つの声部」が存在することはとても新鮮かもしれません。事実これはここまでになかった少し劇的な表現です。

marsch

 この教本では課題としての楽曲のほとんどが舞曲ですので、常にふさわしいテンポの選択や、固有のリズム感を見出し表現できることが大事です。この「行進曲」は特に、揺るがないテンポ、そして足取り軽やかなリズム感はとても、とても大事です。

 

【Allegretto】

 1小節めの「レ#→ミ→レ#→ミ」という十六分音符の動きはおそらく②弦と①弦で弾くことを想定していると思うのですが、同じような形がカルカッシの「24の練習曲 Op.60」のNo.9にありますが、あちらはスラー双方の練習曲。こちらは②弦と①弦で。

allegretto

 後半では滑らかでカンタービレな上声と、打楽器的なリズムの低音で始まります。ここでもその対比の面白さを見つけましょう。最後に出てくる「Dim.(ディミヌエンド)」はお洒落ですね。消え入るように上手に演奏しましょう。