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David Russell デイビッド・ラッセルと私
2004年10月19日

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写真(上)は大阪での受講生、岩崎慎一さん

●10/9 & 10/10「マスタークラス」

 今回私は10月9日の大阪でのマスタークラスと、10日の広島で通訳を担当しました。David russell 氏のマスタークラスに関してはこのコラムの「2」や「4」でも触れましたが、勿論私にとっても今回の彼のレッスンはとても楽しみなことでした。「公開でのレッスン」という特殊性についても以前にお話ししましたが、それは教える側ばかりでなく、受講する側にも言えることです。

 

大阪でのマスタークラスのあとの打ち上げ風景

 大阪、広島、共に四人の受講生がありました。何と、バッハが3曲、タンスマン、ボグダノヴィッチ、コシュキン、武満、そしてヴィラ・ロボス、と変化に富んだプログラムでした。ギターのレパートリーを考えるなら、バッハの作品がこれだけ多く受講されるというのは仕方のないことかもしれませんが、もっとギターのオリジナル作品が受講されてもいいのではないかという気もしました。バッハの作品を通じてギターの技術的な面を学ぼうと思うと、どうしても限られた側面しか見ることが出来ません。おのずと、バロック音楽の「スタイル」であるとか、装飾音の問題、非和声音の弾き方など、話題が行きついてしまいます。受講生はそういったところをクリアーしたうえで臨んだほうが良いでしょう。

広島でのマスタークラス、受講生はカブレラさん

 マスタークラスに関する詳報は現代ギター誌にレポートをすることになっているので、ここでは極めて個人的な感想を二つ述べようと思います。ひとつは大阪での岩崎慎一さんの演奏したD.ボグダノヴィッチの作品「ジャズ・ソナチネ」と広島での山田岳さんの演奏した武満徹「エキノクス」についてです。岩崎さんの演奏は会場の誰もが息を飲むほど完成度の高い演奏でしたが David のレッスンは、だからこそ微に入り細にわたる厳しいものでした。このように高いレベルの演奏を目の当たりにして、更にそれをより完成したものにしていく、という作業が何であるのか・・・、私たち演奏家が何を考えるべきなのかを、極めて具体的に示してくれたことは当日会場にいた若い演奏家達には、貴重な経験となったのではないでしょうか。また広島での山田岳さんの演奏は武満の作品であるということから、個人的にとても興味を持っていましたが、David は奏者の技術的に抱えている問題や欠点を指摘し、その解決方法を示すことによって演奏がさらに良くなる可能性を私たちに明示してくれました。私は心のどこかで、いつの日か David Russell が武満作品を聞かせてくれる日は来ないだろうかと願っているのです。
 

 もうひとつ、強烈に印象的だったのは(それはとても個人的なことなのですが)広島での最後の受講者、川本秀史さんの演奏が終った瞬間、David が「・・・個人的には、あなたの音楽はとても好きだ。あなたは既にあなたの音楽的個性を持っているから、では、それをどうしたらより良く聞かせることが出来るかということを勉強していきましょう」と明言してレッスンを始めたとき、「何とハッキリものを言う人だろう!」とおもって、感動したのでした。川本さんは既にベテランと言ってもいい年代のギタリストで(40代? ・・・かな?)、彼のこの言葉は前の若い3人に対して「音楽を見つけること」が先ず最初にあるんだよ、というメッセージでもありました。事実David はそういう言い方もしていました。

 全体的に David Russell のレッスンが技術的なことよりも、音楽的なことにかかるウェイトが以前より多くなっていたような気がします。そのことは広島でのレッスンの最後に総括として「先ず音楽的に何があるのか、奏者は何をすべきか、それがわかっていなければ、テクニックは何の意味も持たない」と言っていましたし「良い音をだすとか、大きな音を出すとか言うテクニックをマスターすることはそんなに難しいことではない。大事なのはそういったテクニックを、何処で何のために使うかということなんです」とも言っていました。私にとっても充実した2回の公開レッスンでした。

(2004年10月19日)
つづく

写真提供/Manzana