藤井眞吾
ギターリサイタル〜ギターのための小品集
すべては薄明のなかで
[4/14 in BIWAKO & 4/21 in TOKYO]
【曲目について by 藤井眞吾】
7.舞踏礼賛(L.ブローウェル)
キューバのギタリスト・作曲家、レオ・ブローウェル Leo Brouwer の名を世界に知らしめた作品がこの「舞踏礼賛 elogio
de la Danza」であることに、間違いはないでしょう。ショット版には「1964年」という年号が見られますから、可なり初期の作品であり、またいわゆる「現代作品」における「古典」となっているといっても過言ではありません。またキューバから出版された版もありますが、ショット版とは微妙な違いがあります。かつでドイツ・グラモフォンから作者自身の演奏が出ていましたが、キューバ版の楽譜は、むしろこの演奏をもとにテンポの指示や何やかにやを修正したのではないかとさえ、思われるものです。私はショット版に基づいて演奏しています。
曲は「1.Lento」と「2.Obstinato」の二つの部分からなり、前半は一種のパッサカリアの形式により、後半はストラヴィンスキーへの讃歌である、と言われています。
「1.Lento」がパッサカリアであるとする説明はきわめてユニークでやや強引ですが「ミ」の三つの音をテーマとするなら、間違いなくこの主題は発展していると考えられます。冒頭にある「四分音符=ca.60」のテンポ指示は少し早く感じられます。いっぱんい演奏されるのははるかにゆっくりしたテンポですし、ブローウェル自身の演奏もそうでした。しかし「60」というテンポははるかに緊張感を持ち、全体を統括するにはむしろ相応しいテンポのように思えます。この前半では綿密なダイナミックスの計算が行われなければなりません。
「2.Obstinato」はリズムの躍動が見事です。全体を通して言えることは、ギターという楽器の扱いが見事で、この楽器が表現しうる最大の力強さや繊細さを見事に表現した傑作だということです。
私が20代の時(ですからもう30年近く前)、演奏会でこの曲を弾くというと「ああ、現代音楽ですね〜」と敬遠されたものですが、今はもう若い人達の必修のレパートリーとなり、また通常の演奏会でこの曲が難解な現代音楽だなどと思う人は一人もいないことでしょう。時代は変わったものです。