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更新:2005年4月6日

曲目について-1

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藤井眞吾 ギターリサイタル〜ギターのための小品集
すべては薄明のなかで [4/14 in BIWAKO & 4/21 in TOKYO]
【曲目について by 藤井眞吾】

1.個性的小品集(F.M.トローバ)

 先ず最初に、今回ののリサイタルのサブタイトルに「ギターのための小品集」としたことについてですが、私の友人なども「なんだこりゃあ、ちっとも小品じゃあないじゃないか!」といわれ、皆さんの中にも同じように感じてられる方がいらっしゃると思います。私は決して、こういう曲は僕にとっては小品なんだよ、などと不遜な気持ちでこう付けたのではありませんし、またいわゆる「小品・名曲集」の様なつもりでそうしたのでもありません。理由は二つあるのですが、そのうちのひとつは、このトローバの曲にあるように「個性的小品集」というタイトルがとても気に入っていること、そして今回演奏する武満徹さんの「すべては薄明のなかで」が「ギターのための四つの小品集」とされていることから、演奏会全体を総称して「ギターのための小品集」としてみたのです。・・・二つ目の理由は、全体のお話が終ってからにいたしましょう。
 さて作曲者のF.M.トローバ Federico Moreno Torroba (1891-1982)はご存知のように20世紀スペインを代表する作曲家の一人で、サルスエラの大家として知られていますが、ギターのためにも数々の名作を残しています。セゴビアのために書かれた「ソナチネ」、「カスティーリャ組曲」、また「夜想曲」や「スペインの城」などもしばしば演奏される曲です。今回私が演奏する「個性的小品集」はこれらの曲に比べるとはるかに知名度も低く、演奏される機会もあまりないものかもしれません。トローバの作品群は前述の「ソナチネ」、そして近年その存在が発表された「ソナタ」などを除けば、たとえば大作「スペインの城」でも概して「小品」の集まりであり、全体としては相互の有機的な
つながり、ひいては構築する必然性の様なものはあまり求められず、ひとつひとつの作品の洒脱さ、軽妙さが魅力となっていることが多いように思われます。「個性的小品集」は全6曲から成り「1.前奏/2.オリベーラス/3.メロディア/4.ロス・マヨス/5.アルバダ/6.プレアンブロ」のいずれもが同様に、しゃれていて、その軽妙さにおいて他の作品に後れを取るものではありません。ただひとつ極めて特徴的であることは、最終曲「パノラマ(展望)」ではそれまでの五曲を回想し、それらが転調して現れたり、またテーマがカノンとなって反復されたり、最後にはそれらの発展が華やかなコーダへ流れ込む、という構成が、そうか作曲者は「サルスエラ(スペインの小オペラ)」の大家だったのだな、と思わせられるような場面の転換、音による情景の描写、語り口の絶妙さなどを感じさせる点が、私には非常に興味深い点なのです。
 一曲一曲もまさに個性的で美しいのですが、全体として聞いたときに、ここの味わいが更に一層増してくるのです。ちなみに、この曲は私が1986年にイギリスのロイヤル・カレッジの演奏家ディプロマを受験したときの課題曲でした。・・・そうそう、1982年のミュンヘン国際音楽コンクールでも課題曲でした、・・・今思いだしました。ともかく想い出も深い曲なのです。

 


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