gfd
ダイナミックスの練習

ダイナミックスの練習

 ギターは決して「大音量」の楽器ではありません。それはギター、特にクラシック・ギターの特徴でもあり、また長所(美点)でもあるのです。しかし、その「美点」をいかすためには、奏者が楽器の鳴らし方を完全に習得し、音量の変化を操り、そこに劇的な表現を与える事が求められます。ギターが「大音量」の楽器ではないと言う性質を欠点と受け止める人は決してギターを弾きこなすことはできないでしょうし、ギターをして雄弁に音楽を語らせる日もやって来ないでしょう。
  ここでの Guitar Study は、ギターの「ダイナミックスの練習」についてお話をし、けたたましい雷鳴のごとき「フォルテ」と、秋風がそっとかすめたような「ピアノ」を習得したいと思います。愛のささやきが、相手の心にしみるように、ギターの優しい音色が聞き手に伝わる事は大事なことなのです。


藤井眞吾(2018年11月)

基礎練習の中で

 どんな曲を練習している時でも、その音楽と「ダイナミックス」の関係を考える事は必須です。しかし「フォルテ」や「ピアノ」を表現する技術と整合していなければ、演奏のうえではそれが裏目と鳴って聞こえてしまう時がしばしばあります。つまり本来力強くなければいけない「フォルテ forte」では音が「割れ buzzing」、優しく澄んで聞こえなければいけない「ピアノ piano」が聞こえなくなってしまうと言う状態です。

 こういった事を避けるためにも「ダイナミックスのコントロール」は日常の練習、基礎練習の中の課題のひとつとして、常に意識し、自分の技術との関連をしっかり理解しておく必要があります。日常の練習は「右手の練習」「左手の練習」「左右の同機」と明確に分類して行いますが、ダイナミックスそれ自体は右手の動きに依存しますが、その動きの変化と連動した左手の押さえのタイミングは同様に重要ですので、ここではこのテーマを「左右の同期」として分類しました。

 練習は・・・

(1)音階の中のダイナミックス
(2)アルペジオの中でのダイナミックス
(3)和音の中でのダイナミックス

・・・と分けて練習します。

次のページへ