今回お話ししたことは「運指の問題」と深く関連しています。「運指」は私達ギタリストにとって、永遠の課題です。ここに私の考えを要約してまとめますので、それ以上は皆さん自身で考えて頂きたいと思います。
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良い演奏をするためにはかならず「考え抜かれた良い運指」で演奏されなければなりません。 |
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しかし、いかなる場合でも、絶対、最善、唯一、という運指は殆どあり得ないと考えるべきです。条件によって可能性はたくさんあるからです。 |
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運指を学ぶには、先生に教わるよりも優れた運指のついた作品を学び、意図的に全く違った運指で弾いてみることです。そうすればそこにある運指が如何に優れているかが解るからです。 |
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有能な生徒は、教えた運指の意味と必要性を理解しすぐに覚えてきます。やがてその生徒は自らが合理的な運指を見つけ出す事ができます。 |
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凡庸な生徒は教えた運指をなかなか覚えません。自らの習慣的指使いに縛られているからです。 |
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能力の無い生徒は、やたらと運指ばかりを覚えようとします。しかも一種類の運指ばかりを覚えようとします。 |
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時間が経って、もういちど前にやった曲を勉強し直すと、きっと別の運指を思いつく筈です。それはあなたが「運指に関しての知識が増えた」からではなく、「表現しようとする音楽が変化したから」なのです。 |
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良い運指を見つけるためには、音楽を知らなければなりません。 |