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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
guitarstudy

shingoCHAPTER 10.
左はあなたの敏腕マネージャー

  「先生、押さえられません!」という生徒からの反論を私は一体何回聞かされて来た事でしょう。そういう時の理由(=弁解)は大抵、「私は指が短いから」「私は手が小さいから」などなど身体の条件を突きつけますが、指の使い方、角度、タイミング、などなどを正確に理解していないことが原因だと反省する人は極めて希です。左手の技術を教える事は、それを習得する事よりも、もしかしたらはるかに根気のいる事かもしれません。・・・だから大抵の場合、諦めてしまいます。
  しかし決して忘れて欲しくない事は、左手のこういった基本的で重要なテクニックは、右手のテクニックほど複雑な事ではありません。要は、あなたが貴方のこれまでの「悪い習慣」と戦う勇気があるかどうか・・・、それだけの事です。

(藤井眞吾 2012年8月4日)

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第1 節「左手と右手の関係」

 前回「ギタリストはオーケストラの指揮者だ」という話をしました。また「左手はそのオーケストラの裏方だ」と言う話で終わりました。今回は左手の仕事について話をしたいと思います。私がスペインで師事したホセルイス先生はよく「右手は芸術家、左手は労働者だ」と表現していました。また当時先生の住まわれるアルコイ市には日本人を含め、沢山の外国人が教えを求めて先生のもとを訪れていましたが「日本からやってくるギタリストは素晴らしい右手を持った者が時々いるが、左手は概して良くない」と厳しいお言葉も拝聴したことがあります。ホセルイス先生の左手はがっちりとしていて、的確で無駄の無い動きはまるで「仁王立ちした弁慶」を思わせるような感じでした。優れた演奏家の手や指の動きは繊細で美しく、まさに鍛錬の賜物と言わざるを得ません。

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 左手の使い方や基礎練習は「第1章」を、特に「課題2-1」を発展させたさまざまなスラーの練習を行って下さい。また左手と右手の関係については既に「第3章」で触れていますし、そこでお話しした「課題3-1、3-2、3-3」はこの章でも重要ですから復習をして下さい。そこで述べたことですが、殆どの場合「右指が先に弦に到達し、その直後に左指が弦を押さえるのだ」と言うことを忘れないで下さい。

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