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《続・独習者のためのステップアップ講座》
by Shingo Fujii
guitarstudy
shingo

CHAPTER 7.
音色(ねいろ)

7-1
7-2
7-3

 

第3節. 「音色は倍音によって決まる」

 ギターの音に限らず、私達の身の回りで聞こえるあらゆる音の「音色」は「どのような倍音をどういう割合で含むか」によって決定されます。「倍音」というのは、例えばギターで第5弦の「ラ」を鳴らしたとします。これは振動数が「110ヘルツ(Hz)」の音(一秒間に110回振動しているということ)ですが、実際には220Hzとか330Hzとか、さらにはもっともっと高い音も鳴っていて、こういう整数倍の振動数の音を倍音と言います。
 一般的に倍音が多ければ・・・

「つや(艶)やか」「輝かしい」「明瞭である」

・・・などの言葉で表現される音に鳴りますが、本来の周波数(基音)が少なく倍音ばかりが鳴ってしまうと、

「硬い音」「キンキンしている」「冷たい音」

・・・などと表現される音になってしまいます。
 倍音が少なければどうなるかと言うと・・・

「柔らかい音」「素朴な音」「暖かい音」

・・・などの言葉で表現される音に鳴りますが、倍音があまりにも少ないと、

「不明瞭な音」「つや(艶)のない音」「つまらない音」

・・・などと感じられる場合があります。

touch


 今日に至るまで楽器の製作家達は(ギター製作家に限らず)、自分の作った楽器がどのような倍音を持つか、と言うことに腐心してきたはずです。よく楽器メーカーなどの安直な宣伝文句で「倍音の豊かな楽器!」などと言う表現がありますが、倍音ばかりが多ければ良いと言うものではありません。大事なことは、どの辺りの倍音が鳴っているかと言うこと、そして更に専門的なことを言えば、演奏者にその倍音の鳴り方が操作可能な鳴り方をしている楽器であるかどうか、ということが私にはもっと重要であると思われます。
 話がいささか逸れて、楽器のことになってしまいましたが、次回は音色のコントロールをするための技術について具体的にお話ししましょう。