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ギターを始める

5-はじめの終りに

 まるで「想い出話」か「回顧録」のように長話をしてしまいました。でも、感傷に浸っているわけではありません。ギターのテクニックや練習の仕方に関して、あくまでも「演奏の専門家」という自負のもとに、あれやこれやと思いつくことを書いていこうと思っているのですが、このページをお読みいただいている方が、どんな方なのか・・・、男性なのか女性なのか・・・、まだ小学生なのか大学生なのか、はたまた人生の大先輩なのか・・・、ギターの経験はあるのか無いのか・・・、独学でやっている人なのか、それとも先生に習っているのか、もしかしたら音楽大学で勉強している人なのか・・・、皆目解らないわけです。ですから、ここで私が書き綴ることの意味はお読みになる人の一人一人が、できる限り正確に理解していただきたいので、そのためには私がどんな人間で、どのような人生経験を持っており、またギターをどのように学んできたかということを、少しでも知っておいていていただければ、その理解の手助けになるのではないかと思うから、このように個人的なことを最初にわざわざお話したわけです。  さて、もう少し・・・、私のことをお話させて下さい。そして本題に入りましょう。  

 大学に入って、2年生の時から西宮にお住まいの「岡本一郎先生」にギターを習い始めました。京都に関西日仏学館と言うところがあって、そこのホールで岡本先生率いる「ダンスリールネサンス合奏団」という古楽グループの演奏を聴いたのがきっかけでした。リーダーで、リュートを弾いていた「岡本一郎」が実はギタリストで、ギターも教えてくれるということを知って、すぐにご自宅に電話し、教えてもらうことにしたのです。

 最初のレッスンはものすごく緊張しました。曲はタンスマンの「カヴァティーナ組曲」です。「前奏曲」を何回も何回も弾きました。弾いても、弾いても、先生のアドヴァイスは尽きません。そして今迄私が考えてもみなかったような、面白い曲の感じ方を、具体的に、そして論理的に教えて下さいました。先生の家へ通うのがともかく楽しかったことを覚えています。レッスンを始めて間も無く、一緒に習っていた友達に誘われて大阪で新しく始まったコンクールに度胸試しで参加することになりました。予選の課題曲はタレガの「マリーア」、自由曲はヴィラ=ロボスの「練習曲 第6番」。本選の課題曲はヴィラ=ロボスの「前奏曲 第1番」、自由曲はポンセの「南のソナチネ」、テデスコの「世紀を遡る変奏曲」でした。ステージの上では大変緊張しましたが、どんなに緊張してもこれだけは出来るようにしておこうと、練習していた甲斐あって優勝することが出来ました。

 私のギターの本当の勉強・修行はそこから始まりました。つまり、そこまでが私にとっての「はじまり」なのです。


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