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《はじまりの音楽》
by Shingo Fujii
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2.さくらさくら

日本古謡

さくらさくら  やよいの空は
見わたすかぎり  かすみか、くもか
にほひぞいづる  いざやいざや  見に行かん

2 日本の古くから伝わる旋律(古謡)として、海外でも良く知られた旋律ですが、実際にはいつ頃からあるものなのか、はたまた本当に謡曲だったのか、不明な点があるようです。というのはこの旋律が始めて確認されているのは明治21年(1881年)の東京音楽学校による「箏曲集」に始めてみられるからです。もしかしたらこれは本来比較的新しい時代のお琴のための練習曲だったのかもしれません。そうだとするとなんだか、ギターの「禁じられた遊び」と似たような経歴の音楽ということが出来そうです。

 有名な横尾幸弘さんのギター独奏用編曲を始め、色々な方が編曲されていると思いますが、私自身も実は既に「ラプソディージャパン」にも、そして未出版ですが四重奏版も書いています。今回のシンプルな編曲も私は大変気に入っています。

 1st guitar の演奏する旋律は、ですから、お琴のような響きを真似してもいいですし、勿論そんなことは気にせず、朗々と謳い上げてもいいでしょう。

 2nd guitar はいつも伴奏をするわけですが、前半では「八分音符」の比較的ゆったりした音楽です。私が住んでいる京都地方では三月の終わり頃にはちらほらと桜の花が開き始め、四月の声を聞くと一挙に満開となります。曲の前半は「八分咲き」と言ったところでしょうか。9小節目と10小節目では伴奏が旋律を追いかけます。中声部を意識して演奏して下さい。

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 後半では 2nd guitar が終始十六分音符で、激しく、そしてめまぐるしく動きます。ここでは「満開の桜」そして春風に舞い散った無数の花びらが、雪解け水の小川の流れとともに奔流となる様を想像して下さい。こういったアンサンブルでは、前半では「 2nd guitar が伴奏として 1st guitar についていく」しかし後半では逆に「2nd guitar の自由な流れに 1st guitar の旋律がまるで伴奏をするかのようについていく」というやり方をしたほうが、音楽が生き生きとしてきます。

2 この曲での 1st guitar はアンサンブルとしての難しさ以外には、技術的にさほど課題はないと思いましたので、付録(apendix)として「中級者用 1st guitar 」を22ページに載せておきました。両方ためしてみて下さい。