Diary
2006
7

 

BLOG●ビルの残したもの-3
2006年7月30日 (日)

一日空けて22日は福岡公演でした。プログラムは京都と殆ど同じ(ロッシーニが、ボッケリーニとチャイコフスキーに変更、カネンガイザー氏の演奏曲は全く同じ)。でも演奏者が違います。
《天使の協奏曲》では、京都がこのために一般公募で集まった特別合奏団であるのに対して、福岡では中野義久氏率いる「カスティーリャギター合奏団」、さらにフォレストヒルの講師陣などが加わった最強メンバーです。でも私にとっては、これまで一度もリハーサルをしていないと言う状況は、思いのほかハードでした。さすがに中野氏の指導が行き届いて、演奏のレベル、技術的なことは、文句なしでした。でも指揮者が変われば、当然音楽的に修正しなければならないところが出てきます。特に京都の場合と大きな違いは、京都ではオーケストラから「音を引き出す」ことに腐心しなければなりませんでしたが、福岡ではむしろ「音を抑えること」そしてそれを「統率すること」が必要でした。京都では独奏者とオーケストラが寄り添うようにひとつの音楽をつくったのに対して、福岡ではオーケストラが敢然と独奏者に立ち向かったような、緊迫した演奏となりました。
また特筆すべきことは、中野義久氏とカネンガイザー氏による《紺碧の舞曲」は完璧で、最高のものであったこと、フォレストヒル講師陣による四重奏、そして中野氏と、カネンガイザー氏を交えてのバッハ(ブランデンブルグ)は圧巻であったことです。改めてこの地のレベルの高さを痛感しました。
また、この日はカネンガイザー氏の誕生日。アンコールでは、会場のみんなと「ハッピー・バースデイ」の大合唱で、カネンガイザー氏を驚かせると言う一幕もありました。
打ち上げも、熱く、楽しく、カネンガイザー一家も大喜び。沢山の若者、ギタリスト、そして京都から駆けつけた仲間も一緒に遅くまで、盛り上がりました。写真はみんなにお礼の言葉を述べる、カネンガイザー氏です。でも本当は、僕たちの方が感謝の気持ちでいっぱいなのですが、こういった誠実さが彼の魅力でもあり、ファンを引きつけるところなのでしょう。 素晴らしい演奏会でした。(つづく)

BLOG●ビルの残したもの-2
2006年7月29日 (土)

本番前日のリハーサルが、コンチェルトも、アンサンブルも非常に密度の濃い、そしてテンションの高いものであったことは昨日お話ししました。当日のゲネプロは特別な緊張感は見せませんでしたが、やはり本番に向けての準備、チェックは念入りでした。それは「本番」にむけての緊張感を高めるためでもありました。そういう状態にあってもビルは、メンバーの誰に対しても優しい気配りを忘れませんでした。決して「俺が主役なんだ」なんて言う雰囲気は微塵も無く、みんなと一緒に音楽をつくっていくんだと言う態度に、僕は密かに感動していました。そうでない演奏家、あるいはそうしようと思ってもなかなかそれができない演奏家が殆どだからです。
本番での集中力は凄まじいものがありました。コンチェルトではまさに、ありとあらゆるエネルギーを出し切るかのような演奏でした。 さてここで明確に書き記しておかなければいけないのは、彼の本番を迎えるまでの準備が極めて周到で、誠実で、念入りであったと言うことです。前日の練習でも初めて彼が弾く私の二重奏曲《紺碧の舞曲》はまさに完璧でしたし、バッハのブランデンブルグ第6番ではすべてのパートが彼の頭に入っていました。そしてコンチェルトではその演奏が既に完成の領域であったことに加えて、オーケストラに対する指示も極めて明確で、すべての音楽を完全に理解していたと言うことです。これはまさに「驚嘆」に値することなのです。 プロの演奏家はもちろんそうでなければいけないですし、私もこれまで数々の若い演奏家達に、そうすることを教え、求めてきましたが、ここまで完璧に、そして高いレベルで準備してきたのは彼が初めてと言っていいでしょう。このことをとっただけでも、今回の演奏会で咳を同じくした演奏家達には、素晴らしいお手本となっていたはずです。
《天使の協奏曲》の演奏のことをお話ししましょう。オーケストラの メンバー達は前日のリハーサルで、カネンガイザー氏を迎えて、まさに「ハイテンション」になっていました。そしてそれは「緊張感」を生み出したばかりでなく、普段には考えられないような「特別な力」を一人一人から引き出していたように思います。第1楽章では見事にストーリーを創りだしてくれましたし、アンサンブルの難しい第2楽章では私が望んだ通りのサウンドを聴かせてくれました。第3楽章はソリストのエネルギーに立派に立ち向かい、凄まじいテンポにも我を失うこと無く、壮大で情熱的な音楽を最後の音まで見事に創りだしてくれました。オーケストラのメンバー全員に「ブラボー!」。 アンコールでは最終楽章のカデンツァから再び。こんなに気持ちのいい、アンコールを私は演奏させてもらったことがありません。(つづく)

BLOG●ビルの残したもの-1
2006年7月28日 (金)

正確には昨日(27日)にビル(William Kanengiser)一家はすべての予定を終えて、関西空港からロサンジェルスへの帰途に着いた訳です。溢れんばかりのエネルギーと芳醇な音楽を私たちに与え、精力的に京都、奈良を観光し、・・・つまり日本のギターファン達に沢山のメッセージを残し、家族にはたっぷりの愛情を注いだ日々だったのです。
今回の演奏会、および《天使の協奏曲》初演にあたって、僕とビルの間では80通を超えるメールのやり取りが行われ、曲目の相談や、初演曲の打ち合わせが行われましたが、特別に僕の方から「このように弾いてくれ」というリクエストはいっさいしていませんでした。また、ビルの方からも楽譜表記上の問題として音の確認はあったけれども、「どのように弾くのか」という音楽解釈の疑問は全く寄せられませんでした。
7月16日の来日までの、僕たちの準備は壮絶なものでしたが、きっとビルにとっても来る8月の LAGQ によるドイツツアーを控え、また始めての来日となる家族を伴っての準備は決して簡単なものではなかったはずです。だからこそ演奏会前日となる19日のリハーサルは、僕ばかりでなく合奏団のメンバーにも、そしてアンサンブル共演者となるギタリストの面々にも、さらにはカネンガイザー氏自身にとっても、まさに「真剣勝負」と言えるような緊張感が漂っていました。ただしそれは当事者が密かに心の中に感じていたであろうことであって、決して練習会場の雰囲気がぴりぴりしたり、とげとげしたものであったということではありません。
僕がオーケストラのメンバーと最後の仕上げとなる練習をしている会場に、ギターを携えたカネンガイザー氏が颯爽と現れると割れんばかりの拍手がおこりました。さっそく1楽章から、カデンツァを含みながら最終楽章まで演奏されましたが、その演奏の素晴らしさ、完成度の高さには舌を巻きました。指揮棒を振りながら興奮が抑えられません。合奏団メンバーの中には既に目を潤ませながら演奏している者もあります。20分を超える作品を弾き終えると、オーケストラのメンバーから再び割れんばかりの拍手が巻き起こります。にこやかに応えて、すぐに細部の練習、確認に入ります。分かりやすく、具体的に。これはメンバーの一人一人にとって、大変勉強となったことでしょう。
それが終わると時間は既に8時半を回っていましたが、カネンガイザー氏はもう一度「全体を通そう!」と演奏してくれました。この日のリハーサルは、僕にも、そしてメンバーにも、大きな満足と自身を与え、一挙に翌日への集中を高めました。(続く)

BLOG●コンチェルトの面白さ-3
2006年7月19日 (水)

昨日も今日も雨。明日も大降りの予想。・・・にもかかわらずカネンガイザー一家は今日も元気に京都散策。夜はホテルで、九州から駆けつけてくれた中野義久氏と三人で「ギター音楽の様々」の打ち合わせ。中野氏はフォレストヒルミュージックアカデミーの主任教授。今回の博多公演では音楽監督並びに私の《紺碧の舞曲》でカネンガイザー氏と共演されます。そして皆さんご存知のように京都公演でもバッハ、ロッシーニで賛助出演して下さいます。
今回の《天使の協奏曲》練習に際しては京都公演のために何度もお手伝いいただきました。あるときは「代理独奏者」そしてあるときは「パート練習指導者」そしてあるときは「何でも弾ける人」!!! いろいろな方達のエネルギーをいただきながらここまでやってきました。明日はいよいよカネンガイザー氏とギター合奏のリハーサル。そして明後日20日は、京都アルティーホールで本番です!
三日にわたって「コンチェルトの面白さ」と言うテーマで書いてきました。勿論そのすべてを語り尽くした訳ではありません。でも偶然に今日はそれを象徴するような一日でした。《天使の協奏曲》第3楽章は副題が「キューバの踊り」ということで、ブローウェルに捧げています。ブローウェルが好んで、彼の作品で何度も用いた「ブルガリア民謡」の旋律を中心としたロンドです。ここでは独奏者ではなく、各パートリーダー(首席奏者)の独奏でスタートします。単純なリズムの繰り返しとその計算された時間のずれが、全体として大きな律動を生み出します。そしてオーケストラが合流し、本流となり、独奏者が登場します。協奏曲全体として、ひとつの調和へ向かって最後の疾走を開始する訳です。第三楽章のテーマが始まったとき、きっと僕たちはこの曲の練習がスタートした5月3日のことを思い出すでしょう。そしてその間にあった様々なことも、走馬灯のごとく脳裏をよぎることでしょう。勿論僕はさらにそれ以前からの記憶を、つまりこの作品を書き始めたときのこと、作品の構成で苦しんでいた時のこと、さらには今回の演奏会を企画する段階でのこと、・・・沢山のことを思い出すでしょう。そしてたった10分ほどのこの楽章の中に演奏者達は皆個々に、たくさんの思いと、エネルギーを発散することでしょう。それはカネンガイザー氏も何も変わりません。演奏が終わった瞬間、僕たちは「ひとつ」になることができると、思います。
コンチェルトの面白さは、互いの存在を尊重し、己の存在を自覚し、そして会話し、新たに境地に至ると言うことだと思います。 20日の京都、そして22日の博多、是非僕たちの演奏を聴いて下さい!!!

BLOG●コンチェルトの面白さ-2
2006年7月18日 (火)

生憎の雨に見舞われたけれども、幸いなことに祇園祭の最大の見せ場となる「山鉾巡航」をなんと先頭の長刀鉾から最後尾の「南観音鉾」に至るまで、カネンガイザー一家と堪能してしまいました。カネンガイザー氏の奥様はあらかじめ祇園祭のことを本で読んできたとかで、山鉾のことをいろいろとご存知。それが目の前で実際に展開する訳だから、一層面白かったのでしょう。
実を言うと僕はあまり「お祭り」と言うものに胸を湧かせると言うことは無いのですが、今日はそれ以上に、彼らのこの純真さに感動しました。パレードは三時間近くかかったのですが、ひとときもその場を離れること無く、鉾の「大きさ」「色」「形」「デザイン」、辻回しの巧い下手、更新する人々の背中に書かれた文字が何であるか、そして13歳のお嬢さんはそれを見てはスケッチブックに書き写し、「わあカッコいい!」だとか、とにかく「楽しむ」。

《天使の協奏曲》第2楽章ではソリストとオーケストラが交互に語り合う。コーダの静寂さをのぞけばアンサンブルの難しさと言うのはそれほど無いはずだけれども、お互いのモノローグに耳を傾け合い、交わされる会話がどのように成り立ってゆくかという音楽にこそ、あらかじめの打ち合わせは禁物だ。リハーサル済みの某国営放送のしらじらしいインタビュー番組のようになってしまう。
この曲の難しさはそれだけではなかった。僕にとっては、もしかしたら全楽章中でもっとも自身の言葉であり、ナチュラルな音楽なのですが、合奏団のメンバーにとってはこれが一番の難題であったようです。技術的には一番易しいはず、でも「音楽」が分かりにくかったということ。でも練習が進むにつれてオーケストラは少しずつ僕が期待していたように、静かで、奥行きのある、色彩の変化する音楽を奏で始めました。最初は尻込みしていた音楽に果敢に挑戦し、学習し、理解し、自らの体で音楽とするようになってきたのです。
これは技術の問題ではなく、もしかしたら「好奇心」の問題であったかもしれない。今日のカネンガイザー一家を見ていて、私はそう思いました。未知の文化に対して「知らない」ということは絶対条件なのであって、必要なのはそれをそしゃくしようとする好奇心と努力、情熱なのかもしれません。
私が私の中から「真摯な言葉」として書き綴った音楽も未知のものとして受け入れられるとき、それを納得させる、何かが演奏者にも、聞き手にも与えられなければいけない。それは勿論僕一人の力ではなく、合奏団の一人一人の力と、今 W.カネンガイザーと言うギタリストが目の前に現実となり、その力を「楽しもう」という気持ちに、僕自身がさせられた、と言う訳です。

 

BLOG●コンチェルトの面白さ-1
2006年7月17日 (月)

カネンガイザー氏が来日したことを先ほどお伝えしました。今回の最大の目玉!《天使の協奏曲》をどのように演奏するかで、ホテルまでの車中、僕たちはずうっと盛り上がっていました。それで、今も眠られません。 《天使の協奏曲》に関しては私のHPで解説をいたしましたが、ご覧いただけたでしょうか? いくつかのアイデアがあります。カネンガイザー氏はこれらのアイデアと気に入ってくれています。でも「協奏曲」という形態の面白さは、こういったアイデアを「独奏者」と「オーケストラ(または指揮者)」という対等に独立した二つの意思がどのようなかけひきをするかと言うところにこそある訳です。そういったかけひきに、あるいは生の演奏の中で、独奏者のすぐれた発想にに着いていくために、私たちは万全の練習をしてきました。勿論それだけではありません。私たちが独奏者を支える芳醇なサウンドの土壌みたいなものも、かなり準備出来たと思っています。 カネンガイザー氏は第1楽章の「月光」のメローディーのところでは、そのようにルバートしたいと主張しています。いいでしょう! 第二主題の再現部で現れる平行調への転調をいたくお気に入りのようです。ではここはもっとデリケートにはいろうか??? 続く葬送行進曲への流れもよくなるはず。 ああ、今夜は眠れそうにもありません・・・・

BLOG●W.カネンガイザー来日!
2006年7月17日 (月)

カネンガイザー氏が来日しました!
前日が徹夜だったと言う13歳のお嬢さんと奥様はさすがに旅の疲れを隠しきれず、ホテルにつくとすぐに休まれ、私はカネンガイザー氏と軽い夕食。各地でのギタリスト達との共演(ブランデンブルグ協奏曲/バッハ、紺碧の舞曲/藤井眞吾)はもちろんのこと、《天使の協奏曲》をことのほか楽しみにされています。車中では今回演奏する曲のことばかりを話してきました。
演奏会は・・・ 
20日(京都)「ギター音楽の様様」
22日(福岡)「ギター音楽の様様」
23日 マスタークラス in 福岡、
24日 公開レッスン in 大阪、
そして 25日は琵琶湖リサイタルスリーズ(完全にソロ・プログラム)
そして素晴らしいお土産をいただきました。写真をご覧ください。僕たちが被っている帽子がそれ。さあ、そこに何と書かれているかと言うと、下の拡大をご覧ください。そう Concierto de Los Angeles (天使の協奏曲)、と! 明日は山僕巡航を観覧予定。

BLOG●猫・ねこ・ネコ
2006年7月13日 (木)

・・・というタイトルで絵本が、そしてこの本に私の「猫の組曲(全9曲)」が収録されています。定価は2500円。お問い合わせは湖笛の会事務局「TEL.0748-74-0464」またはメールで「event@umibue.com」まで。

BLOG●湖笛定期演奏会〜猫の組曲
2006年7月10日 (月)

昨日7月9日に、滋賀県のフルートオーケストラ「湖笛の会」の定期演奏会が大津市民会館大ホールで開催されました。私が同演奏団体からの委嘱で作曲した「猫の組曲」は1999年の作品ですが、今回CD録音、そしてこの演奏会で演奏するために、6曲に全面的な改編(加筆/補筆)、さらに3曲を追加して、全 9曲の組曲として完成しました。また「湖笛の会」の代表/中山登志子さん作の「ねこ・猫・ネコ」の物語と同期して作曲作業は進められ、松山正氏による作絵で「CD付き絵本」として、出版、昨夜は狂言師・茂山千三郎氏の朗読で上演されました。
作品「猫の組曲」のことについては私のホームページに書きましたのでご覧ください。本番では茂山千三郎氏の絶妙の朗読で一挙に聴衆の心をつかんだように思えます。やはり「表現」する力が素晴らしい!音楽・演奏もそれに負けることなく集中した演奏ができたと思います。
CD購入希望の方は「湖笛の会」ホームページから、または「湖笛の会事務局 TEL.0748-74-0464」またはメールで「event@umibue.com」 まで。

BLOG●Guitar Study
2006年7月 6日 (木)

私が HP「ギタリスト・ 藤井眞吾のWebsite」をスタートしたとき、もう3年以上にになりますが、特に何を公開したい、という目的も無く、ただ仕事の上で必要だから、そこにプロフィールを公開したり、コンサートの主催者にいちいち写真を送ったりするのが面倒だから「PRESS KIT」を設置したりしたと言う程度のものでした。ただひとつだけ、ギターの練習方法のこと、独学で勉強する人のためのひとつの指針となるように(なぜなら私も小学4年生から大学生まで、全く独学でしたから)、私の経験や考え、具体的な練習方法などをご覧いただきたいと、それが唯一の希望でした。
ところがいざ始めて見るとホームページの作り方から(最初は Manzana につくってもらって)、さらに練習方法のお話をどう書き進めようかと、悩むばかりです。今では自分で更新したりもできるようになりましたが、その「Guitar Study」の方はさっぱり進みません。 ところが先日函館でレッスンして、あとになってみると、「そうかこういった人たち、僕が不定期に、そしてたまにしかレッスン出来ない人を対象に書いてみたら、かけるんじゃないかな」と思ったのです。一般論を展開するとなると、内容は膨大になり、それこそそれを書く暇もなくなります。でも具体的で、個人的でもいいから、それを書いてみれば、そのことが当てはまる人も少なからずいるだろう思うようになったのです。
まだ、具体的にどんなタイトルでやろうかは決めかねていますが、頭の中にはイメージがはっきり浮かんできたので、近いうちに「Guitar Study」をホームパージの方で再会したいと思っています。

BLOG●教え子達
2006年7月 4日 (火)

話題を続けます。今月の「ギター音楽の様々」には《天使の協奏曲》のために私の教え子達も沢山参加してくれています。今現在私にギターを習っている人たちはもちろんのこと、かつて私が大阪音楽大学で教えていた、そして現在はプロとして活躍している、高公崇、西尾純平、亀井貴幸、荒木雄図、蟹江真実の五名です(写真左は、亀井君、荒木君)。
彼らは各パートリーダーとはまた別な意味で、私の片腕として演奏でも、そして裏方としても、時にはアマチュアメンバーの「優しい先生」としても活躍してくれています。今回何年かぶりで彼らが集まってみると、学生時代に僕に「練習してないなら部屋から出て行け!」と言われたとか「お前の演奏は何も語っていない」と言われたとか、かなりひどいことを言っていたようで、でもそんなことを笑いながら言い合えるような年になったんだなと、そして皆がそれぞれに今もギターの道でがんばっている姿を見ると本当に嬉しくなります。
休息の間彼ら五人が誰言うとも無く、今回我々が演奏するロッシーニの「泥棒かささぎ」のアンサンブルを楽しんでいたそうです。これは昨年山形県庄内で開催されたギターフェスティバルのために依頼され編曲したものですが、最初から、O.ギリア、福田進一、村治佳織、大萩康治、鈴木大介が演奏すると決まっていたのでそのように編曲しました。今回は、中野義久、岩崎慎一、田中靖二、松田晃明というメンバーで演奏します。教え子達の楽しそうな姿に思わず目を細めてしまいました。これからも彼らが一層精進を続け立派なギタリスト、音楽家に育ってくれることを願っています。
最後にその中の「西尾純平」君を紹介しましょう。五名の中で「高公崇」君はすでに飛び抜けたキャリアを持っていますが、この西尾君も今は演奏活動と教育活動で大活躍のようです。西尾君はとびきり不器用な生徒でしたが、信じられないほどの努力家です。それは彼が本当に純粋にギターを好きであること、ピュアーな精神を持っているからこそできることなのでしょう。また彼は若い人、そして生徒の面倒見が非常によくて、彼のギター教室には驚くほど沢山の生徒がいます。彼の暖かい雰囲気とか情熱とか、そういうものが人を引きつけるのだと思うのですが、実はとっても面白い側面もあって、西尾君の HP に「ポンタのおはなし」というコーナーがあって、最新の章では私も実名登場しており、童話なのか、エッセイなのか、フィクションなのか、ノンフィクションなのか、はたまた妄想なのか・・・、と分けは分からないのですが面白い。すでに今回の《天使の協奏曲》にも話題は及んでいて、なんだか訳が分からないけど、皆さん是非一度ご覧ください。
全く教え子達と言うのは、面白くありがたいものです!

BLOG●練習の成果
2006年7月 4日 (火)

この写真は2日の合奏練習が終わっての一枚。メンバーの Kさん、Sさん、Oさん。そして私は両手に花・・・、って自慢している訳ではないんです。みんな良い表情しているでしょう? 明るいでしょう? そう、《天使の協奏曲》の合奏練習がとうとう最終回だったのです。あとは本番前日のリハーサルと、そしてステージ(7月20日・木/京都 アルティ)という段階になって、素晴らしい演奏ができるようになってきました。今回の合奏団は53名の構成。そのうちプロのギタリストはパートリーダーの5名以外に、数名。あとは皆さんアマチュアの愛好家の方達です。5月からスタートした練習、最初は戸惑いの色もかなりありましたが、皆本当によくがんばってここまでやってきました。そうですね、技術的にはそれほど難しくないパートでも、25分の大曲、音楽的には未体験のことも沢山あったと思うのです。
私達がギターを勉強するとき「練習」と言うのはいったいなんであるのかと言うことを理解していなければなりません。それはプロもアマチュアも同じことです。闇雲に時間ばかりをかけても、そこから生まれてくるものがなんであるかは、誰も分からないのですし、ある目標に向かって努力すると言うことが、人間を成長させるのだと思うのです。こういった合奏の場合は、指導者(指揮者)がその全責任を負っているわけですし、各パートリーダーはその意思を性格に反映していなければ行けない訳です。またその補足もできなければ行けない訳です。メンバーの一人一人には長い時間我慢してもらったり、努力してもらわなければなりません。また私自身も妥協すること無く、適切な指導と練習を与えられなければなりません。これは互いに決して容易なことではありません。
昨日の練習では強力な助っ人、三良裕亮(みよしゆうすけ)君と言う若いギタリストが福岡から来てくれました。中野義久氏の弟子で、既にいくつかのコンクールで優勝・入賞している実力者です。彼との付き合いももう数年になりますが、その成長ぶりには目を見張るものがあります。今回は19日に行われる予定のカネンガイザー氏とのリハーサルまでに、何とか「ソリストとの未知の体験」をしておきたいと思い、彼に頼んだ訳です。ひと月前に連絡をして頼んだら、「勉強させてもらいます!」との返事。そして彼は本当に立派な演奏をしてくれました。このままステージにあげて本番を迎えることもできると言う内容で、私は棒を振りながら、とっても感動してしまいました。
私たちが積み上げてきた「練習の成果」そして三良君がここまで積み上げてきた「勉強の成果」が一体となって、「新しい音楽を創造した」瞬間でした。

今度7月20日、僕たちはカネンガイザー氏とまた新たな創造をするべく、残された日々を過ごします。こういった日々の一瞬一瞬、それがどんなに辛くても、ステージの上で沢山の人たちに演奏と言う行為を通じて、新しい音楽を創りだす瞬間をまさに自分たちで創りだすと喜びを考えれば、それを乗り越えようと言う勇気と力が湧いてきます!

BLOG●函館にて
2006年7月 3日 (月)

6月28日に函館着。夜はホテルの近くで何か食べようと思ったのに、用事がすべて終わってみると、もう11時。函館駅周辺も寂しくなりました。な〜んにもありません。仕方なく寂しそうな焼き鳥屋のカウンターで、お酒を飲みながら焼き鳥をむさぼっていると、お店の玄関にいつの間にか猫(写真)が。これは我が家の猫ではありません。函館駅近くの焼き鳥屋界隈をうろついている野良猫でしょう。ところが妙に可愛くて、ひたすら鼻をひくひくさせて、玄関先におとなしく座っているのです。あまりの可愛さに写真を撮ってしまいました。焼き鳥を少しあげようかと思っているうちに、お店の大将が「玄関閉めろ!」追いやられてしまいました。
29日は今度の秋(10月17日/函館芸術ホール)リサイタルで競演をいただく、ピアニストの「伊藤亜希子」さん、そして高校時代の親友などと会食。伊藤さんは函館出身の素晴らしいピアニストです。今回は前半でモーツァルトのバイオリンソナタ(ホ短調)、そして後半でロドリゴの「ある貴紳に捧げる幻想曲」を共演いただく予定です。このリサイタルの情報は近々私の HP でご案内いたします。伊藤さんとの共演はとても楽しみです。 30日はレッスンとコンサートの後、主催者の安田裕子さんのおすすめのラーメン屋さんで久しぶりの「塩ラーメン」を。これが旨い! その名も「らーめん蝦蔵」。海産物系の濃厚で甘味のある、澄んだ塩スープの中に、しっかりとした噛み応えの麺がたっぷり。塩ラーメンんは僕にとってラーメンの「原点」ひさしぶりに、最高の塩ラーメンをいただきました。五稜郭公園近くにあります。超お勧めデス!。


from Nov. 19th 2002
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