《はじまりの音楽 第1集》 ギター二重奏 «The Dawn of Music vol.1» for 2 guitars
フォレストヒル出版 [FORESTHILL edition/FHED20908] 2,000 円 (税込み) 演奏時間:約30分
クラシックギターには語り尽くせない魅力と、限りない可能性があると、私は長い間確信し、それを演奏し、またそのために作曲し、さらに指導をしてきました。しかしその音楽のほとんどが「独奏」という方法に限定されているために、この楽器を勉強する人達の多くが、音楽本来のあり方である「自分以外の人間とのコミュニケーション」という事を失念してしまうことがたびたびある事に、危機感すら覚えていました。その問題を解決するために、勉強の極めて初期の段階から、独奏曲だけではなく、何か簡単で、親しみのある音楽を、自分の先生と二重奏で学んでいくという事が重要であろうと考えていました。偶然にも、私の旧友である、ギタリストの井桁典子さんから、そういった教材が欲しいという依頼を頂いて、この曲集を編纂しました。「はじまりの音楽」というタイトルは、そういう意味を込めて命名しました。ここには日本の古い民謡や、19世紀から20世紀にかけて日本の政府が国民のために作った、いわゆる「文部省唱歌」の数々を収録しています。どれもが、私にとっては、愛すべき美しい音楽、そして後世の人々にも歌い継いで欲しい音楽ばかりです。
序文
はじまりの音楽 この曲集は二つの目的および理由から作りました。一つ目の理由は、私が音楽家となる以前から歌い、親しみ、愛してきた音楽、とりわけ私自身が生まれ育った国固有の数々の歌の中から、ギターのための作品として新たに編曲し、それらの音楽との絆をより深めたい、という希望です。なぜなら、私が音楽というものを強く意識する遥か以前から、民謡や唱歌との出会いは、私にとって音楽との関わりのはじまりであったと、今思うからです。もう一つの理由は、旧友でありギタリストの井桁典子さんから「ギターの勉強を始める人たちのために、耳慣れた日本の民謡や唱歌の旋律を、“生徒と先生の二重奏”のために編曲できないでしょうか?」という依頼をいただいたことです。それはギターを学ぶ人たちのために、興味深いアンサンブル作品(独奏の音楽ではなく)を作りたいという、私が長年抱いていた計画と合致するものでした。 「はじまりの音楽」というこの曲集のタイトルは、こうしてつけられました。この曲集がギターを愛する人たちに、新たなはじまり、愛すべきはじまり、をもたらすことが出来るならと願っています。
藤井眞吾(2009年5月)
Links
- Guitar Study より「はじまりの音楽」について - 「はじまりの音楽」の演奏ビデオコレクション