「地平線の協奏曲」西日本初演



チルコロ・マンドリニスティコ・フィオレンティーノ特別演奏会
2010年1月31日(日)京都府民ホールアルティ

〜2009年6月に作曲したギター独奏とマンドリン合奏のための「地平線の協奏曲 Horizontal Concerto」がいよいよ関西初演されます。演奏は京都のマンドリンアンサンブル団体「チルコロ・マンドリニスティコ・フィオレンティーノ」、長い歴史のある団体です。初演は2009年7月11日に東京で「アンサンブルモニカ」そしてソリストには益田正洋氏で行われましたが、今回は「指揮:藤井眞吾」「ギター独奏:福田進一」という顔合わせです。
 福田氏はこれまでにも私の作品を数々演奏して下さっており、「天使の協奏曲(日本、台湾、上海にて)」「ラプソディー・ジャパン(日本、上海にて)」「Convivio(東京JTホールで委嘱初演)」、また編曲作品である「どろぼうかささぎ序曲/G.ロッシーニ(現代ギター社 刊)」は福田氏からの依頼で、彼とO.ギリア、村治佳織、大萩康司、鈴木大介の五氏で初演されています。実は福田進一さんとは大学生時代からの友人、最近一緒に仕事・演奏をすることが度々ありますが、コンチェルトでの共演はなかでも楽しみなひとつです。
 福田氏は作品への要求も極めて明確で、「天使の協奏曲」でもオーケストラへの様々な要求をします。ソリストとしての存在感も大きく、私は指揮をしながら彼との対話を楽しんでいます。初演での益田正洋氏は若々しくも完ぺきと言っていい、本当に素晴らしい演奏を聞かせて下さいましたが、今回は大ベテラン、マエストロ・フクダがどんな演奏を聞かせてくれるか、今からリハーサルが楽しみです。
 この演奏会はマンドリンをされている方だけでなく、ギターファンにも是非聞いていただきたいと思っています。コンサートの詳細は左のチラシをクリックして、画像を拡大してご覧下さい。またチケットの予約は下記でも受け付けております。

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《地平線の協奏曲》関西初演を終えて

 1月31日、京都の ALTI で「チルコロ・マンドリニスティコ・フィオレンティーノ」の特別演奏会で《地平線の協奏曲》が再演(関西初演)されました。私(指揮)が立ちあっての練習は昨年の12月から3回、そして本番前日にソリストの福田進一氏が合流して、合計四回の練習を行いました。この曲を演奏するためにマドラの賛助出演(藤原恭子さん)、マンドセロの賛助出演(長嶺賀子さん)、コントラバスの賛助出演(前田恵理さん、山田尚嗣さん)、そしてギターパートの賛助出演(岡村徹君、奥野隆君、三嶋健君、佐藤有華さん、渡部友美さん)、特に昨年東京で初演したときのメンバーであり、この曲の誕生のきっかけをつくって下さったギターの小川光男さんが、わざわざ東京から駆けつけ、演奏に参加して下さったことは心より嬉しいことでした。「フィオレンティーノ」の皆様のご尽力は勿論のこと、賛助いただいた皆様のお陰で、無事に、そして見事な再演を実現することができましたことを、心から感謝いたしております。
 また今回ソリストを務めてくれたのは、福田進一さん。言うまでもなく我が国を代表するギッtリストであると同時に、私にとっては付き合いの長い友人です。そしてもう一つ私にとって面白かったことは、初演者であり、私自身がこの曲を捧げた益田正洋さんの師匠でも有ります。生徒が先生のためにかかれた曲をあとになって演奏するということはしばしばありますが、今回のようなケースは極めて珍しいかもしれません。そういう意味でも、今回の演奏を引き受けてくれた福田進一氏に感謝すると同時に、彼の気魄のようなものを強く感じられたことは、大きな喜びでした。
 益田正洋君とも長い付き合いで、この曲は彼と私との間に共通して存在するであろう、ひとつの風景を通じて書き上げた音楽作品なのですが、そこに福田進一という、私にとってもそして益田君にとっても関わりの深い音楽家が介在することによって、また新たな音楽の姿が見えたという気がします。その象徴的な出来事は、本番直前になって福田氏から「第3楽章にカデンツァが欲しい」と言う要求がやって来たことです。実はそれは私もこの作品を書いていたときに何度も考え悩んだ点でありました。しかし結局、作品全体の方向性を一貫したものにするため、ソリストのカデンツァは加えず昨年の初演を迎えました。益田君はそれを理解し見事な演奏を聞かせてくれたことは既にお伝えしている通りです。
 今回福田氏からの提案は少なからず私を悩ませました。それは彼の意図することが完全に理解できたから尚更であり、再度その問題を出発点から考え直さなければならないという葛藤でもありました。しかし、可能性というのはひとつではないという考えの元、結局はカデンツァを書き(それを書くことにはそれ程時間を必要としませんでした)、福田さんはそれを見事に短時間で消化し、演奏全体は 「チルコロ・マンドリニスティコ・フィオレンティーノ」の特別演奏会にふさわしいものになりました。結局私は自分自身の作品でふたつの可能性を、しかも益田正洋君、福田進一さんという二人の優れたギタリストの手によって再現していただいたという、希有の体験をいただいたという感謝の気持ちでいっぱいです。
 また遠方から沢山の友人達がこの演奏を聞きに駆けつけてくれました。さらに今回賛助出演というかたちで無償で協力してくれた、私の生徒達にも深く感謝すると同時に、彼らの立派な成長ぶりに目を細めたい気分にさせられ、終演後の疲れもそう言った周囲の人達の暖かさが、いつまでも私を支えてくれました。 (藤井眞吾/2010年2月1日 記)

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