gfd
ギターを始める

1-本当の始めに・・・

 「ギターを始める」というタイトルであるからには、本当に「はじめ」に何をするのかを書かなければいけません。ところが、この「はじめ」という状況が、私がギターを始めたころと、今ではずいぶんと変わってきてるようなのです。私は1954年の生まれ、聞くところによると「ギターブーム」というものがあって、ギター教室という看板を見つければとにかく長蛇の列が出来たのだ・・・、等という話も聞いたことがあります。恐ろしい話しですが、ともかく、私はその「ギターブーム」の中に含まれた世代であって、だから「藤井さんもギターブームの影響でギターをはじめたんだ!」とよく言われるのですが、北海道の田舎に育った私はその「ブーム」というものを体感したことは殆どありません。「ギターブーム」を象徴するひとつの曲は、フランスのルネ・クレマン監督による「禁じられた遊び」のテーマ音楽(音楽監督/N.イエペス)なのですが、たしかに私がギターを始めたとき、なぜかこの曲は知っていましたし、実際練習しました。でも私が最初に勉強した曲は京本輔矩先生の編集された「カルカッシギター教則本」の最初に載っていた「ハ長調の Andantino」で、練習曲以外で最初に弾いた曲は F.タレガの「ラグリマ Lagrima」でした。それはよく覚えています。

 我が家にオルガンがあって、それでバイエルを練習して、小学校に行って放課後、音楽の先生に(正確に言うと、音楽の得意だった田中先生に)ピアノを教えてもらいました。何故ピアノをやったかというと、練習すればギーゼキングの弾いているように、ベートーベンの「月光ソナタ」が弾けると思ったからです。実際、私の友達はとても簡単そうに第1楽章を弾いていたのです。ところが私はいつまでたってもそれは弾けませんでしたし、そもそも「月光」の譜面を持っていませんでした。 小学校の田中先生はいつまでも「バイエル」を練習させるばかりでした。


| NEXT