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第19回「アマチュア・ギターコンサート」
at GGショップ大阪 2003年1月13日 5:00pm

11月13日(月・祝)、大阪のGGショップで行われた「第19回 アマチュア・ギターコンサート(企画・主催/GGショップ大阪)」に講師として招かれ、7名(6組)の方々の演奏を聴かせていただきましたので、その時のお話を少し書かせていただきます。

 この会の目的は、練習した曲目(レパートリー)を一般の方々の前で披露する機会を設けること、そしてゲスト講師が寸評を加え、更に講師の演奏も聴く、と言うところにあるようですが、予定されていた時間はわずか「1時間」ということで、内容とスケジュールはかなりタイトなものになりました。せっかくの機会でしたから、全員の演奏が終わってからの寸評では、再び一人一人の奏者に登場いただいて、技術的なアドバイスや音楽的な説明を実際に弾いてもらいながら行いましたので、会が終了したときには予定の時間をはるかにオーバーしてしまいました。以下に一人ずつの演奏者とその演奏曲、講評をまとめます。(*写真1)

●永田参男さん/ラグリマ&ワルツ(F.タレガ)
~トップバッターとして演奏をしてくれましたが、最初はとても緊張していたようです。2曲とも、とてもよく整理された立派な演奏でしたが、奏者の緊張が音楽の流れにもでてしまったのが残念です。特にラグリマのような曲では、技術的に難しいところはないわけですから、どんなに緊張していても出来るだけそれが聞き手に伝わってしまわないように。「緊張した場合を想定しての練習」というのも、時として重要です。そう言った練習を通じて、より一層高いレベルでの「テクニック」が発見できるでしょう。(*写真2)

●小島康之さん/ワルツ第3番(A.バリオス)
~しばしば演奏される曲ですが、決して易しい曲ではありません。 とても正確に演奏して下さいましたが、作品はもっとロマンティックなスタイルと内容なので、より柔軟で自在なテンポの変化や、劇的な表現の切り替えがあったほうが良いでしょう。例えば普段の練習の中でも、音階の練習をするときに「インテンポ」での練習ばかりではなく、かならずアチェレランドやリタルダンド、さらにはクレッシェンドやデクレッシェンドを加えながら練習してみましょう。(*写真2)

●戸田恭敬さん/古風な組曲より「サラバンド」&「ガヴォット」(ポンセ)
~この曲は最近余り聞かれることがなくなりましたが、ポンセの作品は他の曲も、もっと演奏されて良いと思いますし、若い人たちには是非勉強をして欲しい作品が沢山あります。この組曲はイ短調の組曲同様、バロック時代の音楽のスタイルを巧みに模倣して書かれていますので、20世紀の作曲家ポンセが作った音楽ということを一度忘れて、本当にバロック時代の音楽なのだと思ってアプローチしてみると面白い発見があると思います。例えば各楽章のテンポ設定・・・、装飾音の加え方・・・など。 右手の指を連続して使う癖があるようなので気をつけましょう。(*写真3)

●刈谷正男さん/ロンド イ短調(アグアド)
~ この曲はかなりの難曲です。先ず基本的な技術が非常に正確に習得されていなければ、音楽として聞かせることがかなり難しい作品・・・、とさえ言えるでしょう。若い人たちがこういった難曲に挑戦していくことは決して悪いことではありません。ただし、闇雲に戦いを挑むのではなく、そのための準備を確実に行っていく、と言うことの方が重要です。最小限の時間しかなかったので実際の問題点を指摘することは難しかったのですが、戸田さん同様、右手の指の連続使用をしないよう気をつけること、それから左手のスラーの技術をしっかり身に付けて下さい。将来が楽しみです。(*写真3)

●原 良輔さん/タランテラ(テデスコ)
~ この曲もなかなかの難曲で、特にフィジカルなタフさが必要です。特に和音が連続するところでは常に音のバランスを保たなければ旋律が不明瞭になりますから気をつけて下さい。最も気をつけたいのは、「タランテラ舞曲」のリズムが崩れないようにするということです。ポジションの移動を伴って和音が連続するところは実際、かなり大変ですがそれがこの曲の最も特徴的な箇所なのですから気をつけましょう。ちなみに、先日来日して見事な演奏を聴かせてくれた、マエストロ、ギリア氏は寸分の妥協もなくこの曲をアンコールで聞かせてくれました。(*写真4)

●松本直也&奈未さん/DUO Op.55-2(ソル)
~とても息の合った 二重奏でした。完全に暗譜をして演奏に臨む姿勢もいいですね。もっとお互いの楽器を鳴らすこと、それから二重奏では独奏の場合よりももっと自由にギターの音色を活用する(音楽的に利用する)ことが出来ますから、そういう工夫をもっとして下さい。また主題旋律のアーティキュレーションをはっきりとつけること、それによって繰り返される主題の存在感が増してきますし、音楽の発展する様子が聞き手にはもっと感じられるはずです。最初は若いご兄妹かと思っていたら、なんと(!)ご夫婦だそうです。これからもずっと素晴らしい二重曹を聞かせて下さい。(*写真4)

 以上、時間はあっという間に過ぎてしまいました。全ての方々に、もっともっと具体的なお話をしたかったのですが、それはまた現代ギター社(or GGショップ)の企画担当の方に検討していただくことと致しましょう。 私は講評の後、I.AlbenizのMallorcaとScarlatti の Sonataを演奏しました。会全体がもう少し時間に余裕があるなら、いいな、と言うのが私の印象です。とは言え、普段聞かせていただくことの出来ない方々の演奏に接して、私自身も多いに刺激になりました。参加された皆さん、そして沢山の聴衆の皆さん、有り難うございました。
 またこの日会場には、ギタリストの細川卓也氏、バルセロナで活躍中の大谷定広氏、そして打ち上げ会場には先日帰国したばかりの松永一文氏と奥様のエリカも駆けつけて下さり、久しぶりの友人達との再会も、さながら「ちょっと遅めの新年会」と言う感じで多いに盛り上がりましたことを付け加えておきます。 (*写真5)

 

文責/藤井眞吾

第19回アマチュアギターコンサート


2003年1月13日
at 大阪GGショップ


演奏終了後の講評とレッスン

Shingo Fujii


永田参男さん


小島康之さん

 


戸田恭敬 さん


刈谷正男さん

 


原 良輔さん


松本直也さん&奈未さん

Shingo Fujii
藤井眞吾