日本の作曲家2007
 

 

Winter Songs by Toru Aki

1.And The Night Comes Again
北国の冬には辛く厳しいイメージがつきまとう。しかし実は、堅牢な家屋と充実した暖房設備の恩恵で寒い地域ほど屋内は意外に暖かい。そして雪のもたらす静寂に包まれた夜、暖かい室内で少し内省的になって想像力の翼を拡げる事ができるもの北国の冬ならではの暮らしなのだ。 そして今日も長い冬の夜がやって来る。

2. The Dance of Glastig
グラシュティグはスコットランドに伝わる踊り好きの妖精。美しい娘の姿をしているが、裾の長い緑色のドレスの裾から覗いた足が山羊の蹄になっているため正体をしられてしまう。この曲も古典的な舞曲の体裁をしているが何処かに山羊の蹄が隠れているのかも・・・

3. White Devils
雪は「しんしん」と降るという。確かに、吸音性に優れた新雪は街に一時の静けさを運んでくる。そして、空から無数の真っ白い粉雪がヒラヒラと群舞しながら落ちてくる様をみていると、その静けさの中から遠く音楽が聴こえてくる。曲は、意表をついてコミカルでトリッキィな仕立て。砂漠の竜巻をさす「ダスト・デビル」に倣って、白い小悪魔に見立ててみた。

4. Indian Summer
インディアン・サマーは初冬にみられる晴天が続き暖く穏やかな気候、小春日和をさす。「老婦人の夏」や「聖ルカの夏」など、国によって様々な呼び名がある。この時期、暖かいとはいえ夜間はグッと冷え込む。そんな時、日溜まりの微睡(まどろ)みの中でふと脳裏に去来する想いは・・・

5. 雪虫(Snowbugs)
雪虫は、初冬の夕暮れ、フワフワと雪のように舞い飛ぶ小さな羽虫のこと。一年の間に4度のめまぐるしい世代交替をする。晩秋から初冬にかけて純白の衣装を纏ってトネリコ属のヤチダモの木を目掛けて一斉に飛翔する第三世代に続く第四世代は、食物を摂取する口さえ持たずに生まれ、交尾のみを繰り返して次のサイクルの卵を残して死んでゆく。

作曲家、秋透(あきとおる)さんはフルートとギターの為の「ヌーンシティー組曲」の作者で、この曲は私と清水信貴氏のアルバム「夜のスケッチ」に収録されています。その清水氏と、フルートの中川佳子さん、チェロのD.リッチャー、そして私の4人でやっていた「エル・クワトロ El Quatro」の為に2002年に作曲して下さったのが「ウィンター・ソングズ Winter Songs」という素敵な曲です。
2月16日に東京のサントリーホール(小ホール)で「日本の作曲家 2007」という音楽会があり、再演することとなりました。今回の演奏者は、斎藤光晴、長江真由子(フルート)、上森祥平(チェロ)、そして藤井眞吾(ギター)です。

El Quatro (2002)

from Nov. 19th 2002
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