from Nov. 19th 2002
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観峰館を訪ねて・・・

 今月29日に滋賀県東近江市にある「観峰館」という博物館でコンサートをするのですが、「19世紀ギターの精華〜オリジナル楽器による古典派・浪漫派の音楽」というタイトルで、こちらが所蔵する多数のオリジナル楽器の中からシュタウファーとマルタンを使用します。既に2月25日に一度訪れ、コレクションの数々を拝見・試奏して楽器は決めていたので、今日はその楽器をやっと受け取りに、そして来週の演奏会に備えるというわけです。
 博物館の中の演奏会場となる部屋には既に前回のコンサートで使用された二台のクラヴィコードが陳列されたいました(写真1)。29日の演奏会ではその前に設置された円形のステージで私が演奏する予定です(写真2)。こちらのギターコレクションは膨大なもので、19世紀のクラシックギターのみならず、いわゆるフォークギターやジャズギターの原形となったものまで広範に渡ります(写真3-4)。写真4中央に空となったコフィンケースが見えますが、これは私がこれに入っていたシュタウファーを本日お借りしたからなのです。
 19世紀のギターはバロックギターの「5複弦」から「6単弦」という変遷ばかりでなく、その内部の構造や演奏法までも大きく変化してきました。私達が19世紀のギターと向かうとき、現在の位置から振り返るように眺め評価するのではなく、18世紀の半ば、大バッハの死を悲しむと同時に、あるいはハイドンやモーツァルトの新しい音楽の誕生を楽しみながら、これらの美しく繊細な楽器からどんな音楽が生まれ、また当時の音楽家達が何を求めていたのかを類推しなければなりません。
 そのつい二三十年前まではその活躍の場を主に室内楽の伴奏に求められたいたギターという楽器はF.Sor や M.Giuliani の登場によって、ピアノに求めるものとほぼ等量の音楽、あるいはそれ以上に濃密な音楽をギターに求められることとなりました。ソルが最初にギターの手ほどきを受けた時には「6複弦ギター」であっただろうと推測されます。ソルにとってのギターは只単に歴史上の時間的関係からだけ言うのではなく、実際にもはるかにバロックギターに近い存在であったのです。「6単弦」であるという共通項のみで、Villa-Lobos や Tedesco の音楽を奏でる現代のギターとソルやジュリアーニのギターとの間に大きな谷間があるだろうと私は推測しています。
 今回使用するシュタウファー(写真5)はいわゆる「レニヤーニモデル」で弦張が61cm、マルタンも同じ弦張です。 いずれのギターで誰の度の作品を演奏するかはこれからじっくり考えるつもりです。(藤井眞吾/9月21日)

 

ManzanaForesthill
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