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《24の漸進的小品集 Op.44

by F. Sor

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sankaku
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24の漸進的小品集 Op.44

2023年3月1日
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No.20 Andantino

 この曲から最後のセクション、最後の5曲です。そしてここに来てお気づきだと思いますが、これまで第1のセクション「ハ長調(No.1〜No.5)」、第2のセクション「#がひとつ、ト長調またはホ短調(No.6〜No.13)」、そして第3のセクション「ニ長調とニ短調(No.14〜No.19)」ともにそれぞれの最初の曲は「単旋律」を中心とした曲でしたが、この最後の「#が三つ(イ長調あるいはイ短調)」のセクションだけは単旋律の曲がありません。何故なのか理由は解りませんが、もしかしたらソルは「単旋律の課題はもう十分だだろう!」と考えたのかもしれません。私にとっては、ちょっと残念なことです。

 さてこの曲は主に「三度」を伴って動く旋律の練習です。

40_20

 アウフタクトで始まりますが、続く小節の第1拍目は不協和の音程で、スラーで結ばれた次の音で解決します。これらのスラーは(赤丸で囲んだ)は実際には、指を滑らせる「グリッサンド」で演奏されます。音程が離れた場合や、この曲の場合のように重音のスラーは所謂グリッサンドで演奏する事と、ソルは教本の中で解説しています。ですからそのほかのスラー(青丸で囲んだ)とは少しニュアンスが違って聞こえるかもしれません。
 いずれの奏法によっても(または、実際には二つの音を右指で弾弦する場合でも)、スラーで結ばれた二つの音は「最初の音は、より長く、そしてより強く」発音され「解決する後の音は、少し短く、そしてより弱く」発音されなければなりません。便宜的にそれを音符で表現すると、楽譜の中に赤インクで書き込んだようなことになります。二つの音が決して同じであってはいけないのです。このことはこの曲集の中で、何度も注意喚起され、重要なことです。
 曲の前半は属調で終止しますが、後半はすぐに主調に戻りその属和音で引き継がれます。前半の滑らかな動きとは対照的に「ミ」の音から五度、あるいは六度ジャンプする躍動的な旋律です。
 「B」では曲の冒頭に戻るのですが、「A」と比べてみると低音が加えられたいる事が解ります。この低音、二つの音は「回帰」した事をより力強く、そして劇的にするための音だと思います。それを意識して演奏しましょう。