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Guitar Study

《24の漸進的小品集 Op.44
by F. Sor

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作 品 研 究
24 Petites pièces progressives, Op.44

2021年9月17日
 
 
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No.19 Allegretto

 Allegretto、6/8 拍子の軽快な曲です。旋律が三度を伴っているために、ポジションの移動が難しいので気をつけて練習しましょう。ポジションが移動する瞬間、左手は弦を押さえている力を完全に抜いてから移動しなければなりません。

44-19

 先ず気付く事ですが、「A-1」や「A-2」では八分音符の後に八分休符がみられます。何故ここにだけ休符があるのかと言うと、旋律で同度の音が連続するので、第1拍目の四分音符の音価を半分に短く(=スタッカート)することによって、リズムを軽やかにすると同時に、1拍目に自然なアクセントを加えるのです。それ以降の旋律では、四度、三度など、動きますのでその必要はありません。これらの箇所で、仮に四分音符で書かれていても、同度である場合にはこのようにアーティキュレーションを加えるべきであると、ソルは教えているのだろうと思います。
 「B-1」も同じ理由です。
 しかし「B-2」では同じ音形なのに四分音符のままです。これは何故でしょうか? この答えを得るためには「D」と「E」のケースについて考えてみる必要があります。
 まず「E-1」で付点を伴った旋律が「E-2」では付点がありません。これはフレーズの終止を穏やかに、滑らかにしようという明確な意図だと私は考えます。このような変化はソルのほかの曲でもしばしばみられます。同じような旋律ですが、付点の有無によって表情に違いがあるわけです。
 同様のことが「D-1」と「D-2」でも起きているから、「D-2」には付点がないと考えられます。ということはそれに続く「B-2」でも、旋律が穏やかで滑らかに終始するよう、「B-1」との違いがある、と考えても良いのではないでしょうか?
 また「C」で主題の旋律が低音の「レ」がありませんが、これは誤植などではないと考えられます。おそらく作者はその前の小節最後の二つの音(ミとラ)が完全五度であり、次で低音に「レ」が来ると、外声間で平行の五度が生じる事を嫌ったのではないかと思われるからです。
 ここで考えた事は、アーティキュレーションを楽譜に示されたように、実際に演奏してみれば、それらがはっきりとした意味を持ち、音楽に変化と表情をもたらしている事が解ります。ソルはこの曲集の中で、特に旋律のアーティキュレーションについて、学習者に主体的に考えさせるように、しむけているように思えます。作曲者の考えや意図を十全に汲み取り、理解する事はいかなる場合も最優先される重要なことです。