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Guitar Study

《24の漸進的小品集 Op.44
by F. Sor

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作 品 研 究
24 Petites pièces progressives, Op.44

2019年6月9日
 
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No.16 Andante

 とても穏やかで、優しい表情の音楽です。旋律は二つの音程を中心に作られていると考えます。

ひとつめ:「二度」=順次進行と半音進行を含む
ふたつめ:「三度」=転回した六度も同様

 アウフタクトで始まる最初の旋律は「六度(長六度)」という明るく、広がりのある音程です。続く半音の進行は下の声部でもみられ、柔らかな表情です。続く完全四度(シ→ミ)はひときわ鋭く聞こえます。アクセントを伴って、音価をたっぷりと鳴らして下さい。「ミ」を1弦開放弦で弾く場合は、音色が硬くならないように注意しましょう。
 四小節を単位として曲が構成されていますが、6小節目から7小節目にかけての十六分音符は滑らかな動きを持って弾きたいのですが、必要以上にテンポが速くなってはいけません。

4-16

 後半は上の声部と下の声部がリズムの掛け合いをします。それぞれの動きをはっきり聞かせましょう。ソルの曲には(この曲集でも)こういった「二声の掛け合い」はしばしばみられます。いつも、それぞれの動きをはっきりと対比するべきだと思います。
 曲の最後近くなって、四角で囲んだ「A→B→C」というシークエンスがみられます。半音を中心とした音程で下降してきますが、ここの表情の変化に留意しましょう。「A」では「ミ」が「#」に変化することによって、突然不安気な表情を作ります。「B」でも同様に「レ#」と下声部の和音はドミナント効果を持ち、私には次の瞬間「ホ短調」へ解決するかのような感じを与えるのですが、半音進行して来た下声部は、温かい「ホ長調」和音へ移行しますが、これは次の小節の「ニ長調主和音」に解決するための準固有和音なのです。しかしそういう事より大事なのは、「A」と「B」では付点を伴った「弾んだ」旋律であったのに対し、「C」では「A」「B」でみられた付点はなく、十六分音符による、柔らかく滑らかな表情へと急変するのです。この瞬間が何とも美しく、感動的です。この「C」の旋律を「プリントミスだ!」などと浅薄な判断で、付点を加えて弾いたりしたのでは、作者がせっかく私達のために用意してくれた「最上級の瞬間」が台無しになってしまいます。
 こう言った注意はソルの音楽では常に必要です。この曲集でもそれは同じです。ソルは旋律の表情、音楽の変化をいつも明確に意識して、それを楽譜の中に表わしていますから私達はそれを正しく読み取らなければなりません。