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《24の漸進的小品集 Op.44

by F. Sor

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24の漸進的小品集 Op.44

2023年3月1日
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No.14 Tempo di Minuetto, moderato

 第14番は「メヌエットのテンポで、moderato」となっています。ソルは素晴らしい「メヌエット」をいくつか書き残しています(作品3、作品11)。メヌエットは19世紀には最も優雅な舞曲のひとつでした。

 

 曲は三つの部分(ⓐ ⓑ ⓒ)から構成されています。

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 ⓐの部分は8小節で、最初の4小節(a-1、a-2、a-3)と次の4小節(a-4)が対照的です。「a-1」では属音「ラ」から主音「レ」へジャンプしますが、その時両方の音を5弦、4弦とそれぞれ開放弦で弾いたとしても、1拍目の「レ」の時前の「ラ」が残っていないようにしましょう。両方を5弦で弾けば簡単にその問題は避けられますが・・・。この最初の旋律は主和音の分散「レ-ファ#-ラ」です。「a-2」は属和音、「a-3」で主和音に戻ります。「a-4」は4小節にまたがる長いフレーズです。属調、イ長調に転調します。ⓐでの、前半と後半の旋律の表情が違う事に注意しましょう。

 ⓑの部分はイ長調ですが、8小節間ずっと、主音「ラ」のペダル上で旋律が展開します。上声部の和音の変化とともに、ぐるぐると宙をまわって戻ってくるような感じがします。このセクションの最後から2小節目、減七の和音ですが、ここは最初の音と4番目の音にアクセントがあるだろうと思います。そのことによって三拍子(3/4)のリズムが二拍子(6/8)に変化し、いわゆる「ヘミオラ」となりますが、こういった三拍子系の舞曲では常套の変化です。
 またこのセクションが始まって2小節目と3小節目、ペダルの音を結ぶ「タイ」が欠落しているのではないかと考えます(注)。タイがあった方が後半4小節との、リズムの整合性が感じられます。

 ⓒの部分はⓐの再現と言えますが、間に4小節が挿入され(D-1、D-2)、ニ長調から一時的にホ短調に転調し、音楽に深みを与えています。旋律はⓐの場合よりもそれぞれ装飾的に動きが増えています。またⓐでは旋律の動きだしが、属音「ラ」から主音「レ」へジャンプしましたが、ここでは属音「ラ」は主音「レ」へ下降します。この二つの変化を感じながら演奏したいと思います。
 この最後のセクションでは旋律がいつも八分音符で動いていますので、右手に「逆指」を使わないようにする事、それにともなって左手も指使いをよく考えた方がいいでしょう。滑らかに、優雅な表情を失いたくないので、それは重要なことだと思います。