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Guitar Study

《24の漸進的小品集 Op.44
by F. Sor

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作 品 研 究
24 Petites pièces progressives, Op.44

2019年6月5日
 
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ソルの音楽の集大成

 ギターを自習で始めて間もなくの頃、教則本に載っていたある曲、Andantino と言う曲に心を奪われました。作曲者は F.ソル、とされていましたがそれがこの作品44番「24の漸進的小品集」に含まれる第3曲 Andantino であることを知るまでは、何十年もの時間が必要でした。 数多くの作品をギターのために残したソル、沢山の曲がよく知られ、演奏されますが、この作品44番は、演奏会では勿論のこと、学習者のための良い教材としても紹介される事が殆どなかった、というのがその理由であろうと思われます。
 ソルは1839年に他界しますがその少し前に、教則本を(1830)、そしてその翌年(1831年)にこの24曲を出版します。その序文でも述べられているように、明らかに学習者を対象とした内容の作品集ではありますが、いわゆる「練習曲」とは趣を異にしており、音形の反復による技術の訓練はここには一切みられず、いつも音楽の修得に焦点が絞られています。平易な演奏技術で弾く事ができ、いずれも小品である事から、演奏会では取り上げられないのでしょうが、その音楽の内容と上質さは、ソルの音楽の集大成と言っても良いものです。
 初級の人には適切な指導がなければ、決して易しいとは云えないのかもしれませんが、あるレベル(中級)に達した人には決して難しい曲ではありませんし、当然それ以上のレベルの人には「初見」で演奏が出来る内容です。
 私は数年前に、ギターの専門誌「現代ギター」にこの24曲について解説を書いたことがありますが、紙面も限られていましたし、時間も経ちましたので、改めてここに作品の紹介をかねて書いてみようと思いました。もう一つの理由は、本年 2019年の6月22日には私のコンサートシリーズでこの24曲を演奏しようと思っていますので、もう一度作品についての考えを整理してみるのも、私自身、新たな発見があるかもしれない、そういう理由です。
 曲集のタイトルにあるように、24曲は「漸進的 progressive」に、すなわち易しい曲から始まり、徐々に難易度を上げていくように配列されていますから、学習者はもちろんそのような順番でやっていくと思いますし、解説をするにしても普通はその順番、つまり第1番から始めるのが正当だろうと思います。しかし今回はあえて、そうではなく最後の24番から書きはじめてみようと思います。 第24番をあえて「目的地、ゴール」と考えるなら、まずゴールを良く知ってからスタート地点に立ってみるのも、もうひとつのやり方だろうと思いました。私のコンサートまで22日ありますから、毎日1〜2曲書いて、アップしていけば全曲について書き上げられるだろうと考えています。
 ここに書いた事をお読み頂き、各自がギターを手にして勉強してみて頂く事を勿論望んでいますし、また機会があれば私のコンサートで、演奏を実際にお聴き頂ければ、何より嬉しいことと思っております。

藤井眞吾(2019年 6月 1日:京都)

 

(初版の「序文」に相当するソルの「警告」)


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