本日は《麗しき五月に Im wunderschönen Monat Mai 》というタイトルでお聞き頂くのですが、これはR. シューマンの「詩人の恋 Dichterliebe Op.48」という過曲集の第1曲です。狂おしいばかりに官能的な旋律と、定まるところの無い和音の流れはロマン派音楽の最高傑作と言える1曲ですが、その源泉はハイネの詩に由来します。
麗しき五月に
うるわしき五月に
すべてのつぼみが弾けて咲くように
ぼくの心の中にも
恋が花開いた
うるわしき五月に
すべての鳥たちが歌うように
ぼくも彼女に告白した
ぼくの憧れと そして願いを
ギターはそれ自体、たいへんロマンティックな楽器だと思いますが、19世紀の後半ロマン派の音楽が華やかであった頃、ギターの音楽はその大波に乗っていた、とは決して言えない状況でした。それはギターと言う楽器の機能が深く関わっていたからではないでしょうか。
来月は《ちょっと浪漫的に un peu romantique 》というタイトルでお聞き頂きますので、その辺の事を皆様とともにもう一度考えてみたいと思います。そして来月はいよいよ第99回、しかも開催日の「6月27日」は、なんと、私の誕生日でもあります!
(藤井眞吾:記/2015年5月23日)
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