秋
藤井眞吾
日本は「大きな国」だとつくづく思います。
スペインへ留学していた時に、会うヨーロッパの人々は口を揃えて「日本は小さな国だろ?」と言いました。当時は浅はかにも、そうだと思って「YES」と答えていましたが、今になって思うと、自分の無知を恥じるばかりです。国土面積で言うと、日本は世界の62位ですが、ヨーロッパで日本より大きな面積を持つのは、フランスとスペイン、そしてスウェーデンのみです。
いえ、私が感じていたのは「国土面積」などとというケチな話ではなく、そこにある自然や文化の多様さ、豊かさ、そういったものでした。これは国がここに持っている特性や性格ですから、私に「日本は小さな国だろ?」と質問したヨーロッパ人と同様の過ちを避ける為にも、少なくとも私の経験から言えば、日本はその国土のなかに豊かな財産を持った、大きな国だと言うことにしましょう。なかでも、四季の美しさは素晴らしいと思います。しかも北の四季と、南の四季は全く違った味わいを持っています。
今年の夏は猛烈な暑さに見舞われて、いつにも増して彩り豊かな秋の到来を心待ちにしていました。ところが夏から引き続き台風が襲来、猛暑がある日から突然肌寒く冷たい空気に・・・。世界的な気候の変化があるのは仕方がないのですが、日本の美しい四季が様変わりをしているように感じるのは、貴重な財産を失ってしまったような寂しさに襲われます。
(2013/10/26)
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