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第79回《夏の思い出 Summer Memory 7月27日・土

   

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夏の思い出

藤井眞吾

  北海道生まれで、18年間そこで暮らし、育った私の「夏の思い出」は、いささか複雑な様相を呈しています。盆踊りなのに寒さ対策で、浴衣の上にカーディガンを羽織らなければ行けないと言う夏を過ごした人間にとって、京都の夏の過酷さは想像を絶するものでありました。しかし、私にとって「夏」といえば、どうしてもスペイン留学時代のことが圧倒的に沢山思い出されます。スペインの夏が京都以上に暑い事は周知のことながら、スペインの夏がひときわ印象的であるのは、昼間の強烈な日差しや暑さや乾燥した空気とは対照的に、夜になるとヒンヤリとして、潤いを帯びたように呼吸が静まり返り、石畳が宝石のように輝き出す、・・・というコントラストのせいだろうと思うのです。そして、そのような気候のもとで、コンクールを受けに行ったり、夏期講習会に参加したり、色々な国の友人達と音楽や人生に付いて語り合った事、それが私にとっての「夏の思い出」と言っても良いのかもしれません。余談ながら、そういう留学時代の記憶を音楽にしたのが、2002年に作曲したギター二重奏の為の「紺碧の舞曲 Danse d’Azur」と言う曲なのです。

 スペインに留学して最初に習ったのが、ホセ・トマスと言う先生でした。アリカンテと言う地中海に面した美しい町にある音楽学校でした。その次はアルコイと言う町でホセルイス・ゴンザレスと言う先生、二人とも残念なことに、もう故人となってしまいました。もう一人はスコットランド出身のデイヴィッド・ラッセル。地中海に浮かぶメノルカ島と言うところで生まれた彼は、見た目は典型的なスコットランド人ですが、喋ると全くスペイン人のように、スペイン語も、カタロニア語も、そしてガリシア語も話すのでした。

 音楽の記憶と、こういった留学の記憶、そして先生や友人達との記憶は、いつも夏になると昨日の事のように、私の脳裏に蘇ってきます。

(2013/7/27)

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会場:アートステージ567

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西入巴町 9-2 「コロナ堂」2F
(Tel. 075-256-3759)
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