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第50回《はじまりの音楽~発売記念コンサート(大阪) 1月16日・土

   

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《曲目解説》

 藤井眞吾

 第1部は《ギターの名曲と小品》です。スペイン(カタロニア)生まれの F.ソル Fernand Sor はその後半生をパリで過ごし、19世紀を代表するギタリスト・作曲家です。「マルボローは戦争に行った」は南フランスで歌われた古い民謡ですが、現在は世界中で童謡として親しまれています。

 ソルの約100年後に同じくカタロニアに生まれたピアニスト、I.アルベニス Isaac Albeniz の作品はしばしばギターに編曲され演奏されます。「マジョルカ」は地中海に浮かぶ美しい島の名前で、そこでショパンが一時期恋人と静かに暮らしていた事でも有名です。

 クラシック・ギターには沢山の美しい小品があります。それは「練習曲」のような、初学者のための易しい作品でも、愛おしくなるような滋味に溢れ、音楽の喜びを体験させてくれます。ソルの「練習曲 ロ短調」は《月光》の愛称で親しまれています。カール・ブルーノ・ヘンツェ Carl Bruno Henze は1900年にドイツに生まれたギタリストですが、教育者として大きな功績を残しました。学習者のための小品は今でも愛奏され、なかでも「ノクターン(夜想曲)」は代表的な作品です。アルゼンチンのギタリスト、フリオ・サグレラス Julio Sagreraz も教育者として、また作曲家として沢山の作品を残しました。「マリア・ルイサ」は作者の姉妹のために書かれた「三つの易しい小品」に含まれる「マズルカ」です。本日は一般に流布した版ではなく、この原典版に基づき演奏いたします。

 映画《ディアハンター》のテーマ音楽として有名なこの曲は、もともとはクレオ・レーン Cleo Laine のために書かれたギター伴奏の「He is so beautiful」という歌曲です。その時ギターを担当したジョン・ウィリアムスがギター独奏版《カヴァティーナ Cavatina 》としました。

 20世紀の日本を代表去る作曲家、武満徹(1930 - 1996)さんはギターが大好きでした。独奏曲の他、協奏曲や編曲も沢山書かれました。《12の地球の歌》はポップスや民謡を含む編曲集ですが、堅苦しいクラシックギターのレパートリーに新風を吹き込もうと、荘村清志さんのために書かれた作品です。

 第1部はロマン派の作品、ハンガリー出身のギタリスト、メルツ J.K.Mertz の「序奏と華麗なるロンド 作品11」です。類い希な演奏技巧と、まるで人の声で歌うかのようにギターを演奏したと言われるメルツはヨーロッパ各地で盛んに演奏を行いまいしたが、彼の作品はいずれものびやかで、ギターの魅力に溢れています。ゆったりとした序章と、ハンガリーの民族舞曲からなるロンドです。

 第2部は《はじまりの音楽》全12曲です。日本の民謡や唱歌を題材として、ギターの勉強を始めたばかりの人が、先生と一緒に二重奏をしながら勉強ができるように、と書いた曲集です。曲集のタイトルはそういう意味で《はじまりの音楽》と命名しましたが、もう一つの意味は、私達日本人の持っている西洋音楽との関わりは明治政府が「文部省唱歌」を作り、そして私達がそれを歌い始めたところにある、と思うからです。「文部省唱歌」の経歴は音楽の歴史だけではなく、様々な日本の政治の歴史をも語っていますが、私達音楽家は、それらに背を向ける事無く、自国の文化の歴史として忘れずにいたいと思います。日本には沢山の美しいメロディーがあります。私はそれらをこれからも沢山演奏して行きたいと思います。

 

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会場:アートステージ567

京都市中京区夷川通烏丸
西入巴町 9-2 「コロナ堂」2F
(Tel. 075-256-3759)
*地下鉄「丸太町」6番出口より徒歩1分

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