《曲目解説》
とうとうこのコンサートシリーズも40回目に突入しました。最初はまさかこんなに長く続けられるとは思ってもいませんでしたが、これもひとえに皆様のお陰と、心より感謝いたしております。
今回は19世紀のギターの巨匠、マウロ・ジュリアーニMauro Giuliani(1781-1829)です。「大序曲」や「ロッシニアーヌ」などの技巧的で華やかな作品で知られますが、残された膨大な作品群の中には、教育を目的とした作品、サロンで演奏されたと思われる小品など、一般的にはあまり知られていない側面も沢山あります。ともすると同時代のギタリスト、フェルナンド.ソルFemando Sor(1778-1839)と比較されますが、私はこの二人には音楽的にあまり共通するものはないと思っています。極めて性格の違う音楽‥・、しかしながら現代のギター音楽にとっては、いずれもとても大きな存在であることに間違いはありません。
今回演奏する《薔薇Op.46》の可憐さ、《嬉遊曲Op.78》や《バガテルOp.73》の軽快さ、そして《練習曲Op.100》で聞かれる自由さは、私にとって大きな発見であり極めて新鮮な音楽でした。当時ジュリアーニの作品が沢山出版され、愛されたのは、もしかしたらこういった側面であったのかもしれないと思うのです。《華麗なソナタOp.15》や《大序曲Op.61》のような豪快さや華やかさばかりではないことを是非知って頂きたい‥・、そして昧わって頂きたいと願っています。
(藤井眞吾/2010年1月23日)
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