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ESSAY

藤井眞吾のエッセイ《12のエッセイ》

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12のエッセイ

 
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12のエッセイ・・・
《 東京での四日間 》


4guitarists  10月7日から10日まで東京に滞在しました。今日は11日、仕事を終えて京都に向かって新幹線の中、この原稿を書いています。
 7日は夕方に品川に到着、いつも使っているホテルに四人の若者を迎えました。それは彼らが9日にオペラシティーの近江楽堂で演奏会を行い、プログラムの中のひとつとして今年出版した昨年の作品「ロンド〜ひまわり」を演奏してくれるからであって、本番までに一度私に聞いて欲しいという事だったからです。四人の若者とは、システム・エンジニアとして働きながらギターを勉強する佐々木君、昨年のスペインギターコンクールの覇者である小暮君、同じく昨年の九州ギター音楽コンクールの覇者の林君、そして最後は私の生徒でこの日二十歳の誕生日を迎えた会所君の四人です。
 いうまでもなく素晴らしい腕前の持ち主ばかりですから、狭いホテルの部屋で聴かせてくれた演奏は、今更何かを教える必要のないほど完成した物でした。しかし、作品がどのように出来ていて、モチーフの関わりや、そのためのテンポの変化の必然性、あるいはアンサンブルの基本とも言うべきブレスの合わせ方や合図の出し方を説明してやると、彼らはたちどころに演奏の質を一変させ、更に緊密で揺るぎ尾のない演奏を出来るようになった事は、この上なく嬉しいことでした。練習後に一緒に夕食を楽しみながら、皆で祝った会所君の誕生パーティーも一層盛り上がった事は言うまでもありません。
ritornelli 翌八日は、大井町の「きゅりあん大ホール」で日本ギター合奏連盟による合奏フェスティバル。毎年新作の委嘱と初演を行っている同団体ですが、今年は私に白羽の矢がたちました。「4つのリトルネッロ」という合奏曲を上梓したのが7月の末。9月に一度リハーサルを行いましたが、さすがにベテランを中心とした「アンサンブルOZ」の8名は見事に曲を理解し、素晴らしい初演を行ってくれました。メンバーの半分は私の先輩方、些か心配もしていましたが、皆さん私に対しても、そして作品に対しても極めて真摯に接して下さり、最善の演奏を披露くださいました。大成功の初演でした。打ち上げはギター界の同窓会のような様子で、大いに盛り上がった事は言うまでもありません。
4guys 翌9日は初日にレッスンをした四人の演奏会。会場は私にとってんも懐かしい「近江楽堂」。独奏あり、二重奏あり、そして四重奏と盛りだくさんでしたが、若さ溢れる楽しい演奏会でした。「ロンド〜ひまわり」も僅か二日間で完全に自分たちのものにして、すばらしい演奏でした。この吸収力には大きな拍手を送りたいと思います。終演後は出演者達と上野のミレニアムホールへ。スペインギターコンクールの観戦。本選のみを聞きましたが、九州ギター音楽コンクールの審査委員長を五年間務めた私としては、考えさせられるところの多い経験でした。
 最終日の十日はホテルでいつものようにレッスン。やはり来月に迫ったコンクールの曲のレッスンで、ここしばらくはこういうレッスンが続いているので、些か大変でしたが、生徒の情熱に後押しされながら3時間近いレッスン。若者達がこうして成長していく姿を見るのは楽しい物です。
 あっという間の東京滞在四日間。最近購入した Wi-Max の wi-fi ルーターのお陰で新幹線の中でもこんな原稿を書いて、送る事ができます。

藤井眞吾(2011年10月11日)